天秤とコインを挟んで話し合うヘルメット姿の二人のイラスト
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協力会社との単価交渉の進め方|外注費の見直し手順と建設業法の注意点

目次
  1. 外注費を見直す前に、まず確かめること
  2. 建設業法で気をつける点
  3. 話し合いの手順
  4. 話し合いで避けたい言い方・やり方
  5. 外注費を下げられないときの考え方
  6. 関連する記事
  7. ほかの会社の見積もりと比べる

協力会社との単価の話し合いは、工事の範囲・段取り・発注量を一緒に見直すことから始めます。双方の手間とむだを減らし、必要な費用を確かめたうえで協議します。見直しの理由と内訳を共有し、元請け側の改善案を示したうえで、合意した単価・適用する工事・開始時期を書面に残します。建設業法では、注文者が取引上の地位を不当に利用して、通常必要な原価に満たない代金で契約することが禁止されています。2025年12月12日に完全施行された改正建設業法では、建設業者が受注する場合も、通常必要な原価を下回る契約が禁止されました。ただし、省令で定める正当な理由がある場合は除かれます。著しく短い工期での契約も禁止されています。「協力会社が受けると言ったから大丈夫」とは言えなくなっています。

この記事は、2026年10月時点の法令にもとづきます。個別の取引が法令に触れるかどうかの判断は、許可行政庁や専門家に相談してください。

外注費を見直す前に、まず確かめること

単価の話を始める前に、外注費が上がっている原因を確かめます。原因によって、話し合う相手も中身も変わります。

原因 確かめ方 見直しの方向
工事の範囲があいまいで、追加・手直しが多い 追加の工事・やり直しの記録 発注の範囲・図面をはっきりさせる
段取りが悪く、待ち時間や二度手間が多い 現場の日報、協力会社の聞き取り 元請けの段取りを改善する
小さな工事を、ばらばらに発注している 発注の件数と1件の金額 まとめて発注する、年間の見通しを伝える
資材・労務費の相場が上がっている 資材の価格、公共工事設計労務単価の推移 単価の見直しは避けられない。発注者との契約に反映する
特定の協力会社に依存し、比較していない 同じ工事の見積もりの比較 ほかの会社からも見積もりを取る

相場が上がっている場合に、協力会社にだけ負担を求めると、関係が続かなくなり、法令にも触れるおそれがあります。

建設業法で気をつける点

ルール 内容 条文
不当に低い請負代金の禁止(注文者) 取引上の地位を不当に利用して、通常必要な原価に満たない代金で契約してはならない 第19条の3第1項
原価割れ契約の禁止(受注者) 建設業者は、自社が持っている安い資材を使えるなど国土交通省令で定める正当な理由がある場合を除き、通常必要な原価に満たない代金で契約してはならない 第19条の3第2項
著しく短い工期の禁止 注文者も、受注する建設業者も、通常必要な期間に比べて著しく短い工期で契約してはならない 第19条の5
見積書の材料費等 建設業者は、材料費・労務費などの内訳と工程ごとの作業・準備に必要な日数を記載した見積書を作るよう努める。材料費等は通常必要な額を著しく下回ってはならず、注文者の請求があれば契約成立までに見積書を交付する 第20条第1項・第2項・第4項
見積もりの変更の求めの禁止 注文者は、見積書の材料費等を、通常必要な額を著しく下回るおそれのある額に変更するよう求めてはならない 第20条第6項
資材などの購入の強制の禁止 契約の後に、地位を不当に利用して資材・購入先を指定して買わせ、利益を害してはならない 第19条の4
価格の変動への対応 契約書には、価格の変動にもとづく代金の変更とその算定方法を書く。受注する建設業者は、省令で定める資材高騰などのおそれを認めるとき、契約前に根拠情報とともに通知する。通知した事象が契約後に生じた場合は、変更協議を申し出ることができる。注文者は正当な理由がある場合を除き、誠実に応じるよう努める 第19条第1項第8号、第20条の2

国土交通省ガイドラインは、契約前に通知していなかった事象でも、通知がなかったことだけでは変更協議を拒む理由にならないとしています。契約の変更条項に沿って、必要性や金額の根拠を確かめ、誠実に協議します。

元請けは、発注者との関係では受注者、協力会社との関係では注文者です。発注者から無理な代金・工期を求められ、それをそのまま協力会社に回すと、両方の立場で問題になりえます。

中央建設業審議会は、2025年12月2日に「労務費に関する基準」を決定しました。個別工事の労務費は、適切な職種の公共工事設計労務単価、施工条件に応じた歩掛(単位施工量に必要な作業量)、施工数量をもとに算定する考え方です。一律の値引き率を先に決めず、工事ごとの必要額を確かめて協議してください。

話し合いの手順

  1. データをそろえる: 過去1〜2年の発注の件数・金額、追加の工事・手直しの記録、他社の見積もり、資材・労務の相場の動き。
  2. 見直しの目的を伝える: 「単価を下げたい」ではなく、「発注者からの予算が厳しくなっている」「同じ工事の段取りを見直したい」など、背景を正直に伝える。
  3. 元請けにできることを先に出す: まとめて発注する、年間の見通しを示す、図面と範囲を早く確定する、資材を元請けが手配する、待ち時間を減らす段取りにする、締め日から支払日までの期間を短くする、など。
  4. 協力会社の見積もりの内訳を聞く: 材料費・労務費・法定福利費(社会保険料の事業主負担分)・経費の内訳で話す。労務費や法定福利費を削る形の値下げは求めない。
  5. 合意した内容を書面にする: 工事の範囲・代金・工期・支払い条件を、契約書や注文書・請書(注文を受けた側が承諾を示す書面)に反映する。

社会保険料の事業主負担分(法定福利費)は、見積書に内訳として明示する取り組みが進められています。法定福利費を「値引きの対象」にすると、協力会社が社会保険に加入し続けることを難しくします。

単価協議の記録ひな形

次の表を社内の協議記録に写して使えます。合意内容は、協議記録に加えて契約書面へ反映してください。

記録する項目 記入欄
協議日・双方の担当者
見直す理由・対象工事・現在の施工条件
材料費・労務費・経費の根拠資料
元請けが改善する段取り・支給品の条件
協力会社の要望・回答
合意した単価・対象範囲・適用開始時期
未合意の項目・再協議日
反映する契約書面・双方の確認担当

話し合いで避けたい言い方・やり方

避けたいこと 理由
「次から○%下げてください」と一律に通告する 原価を見ずに金額を決めることになり、不当に低い代金にあたるおそれがある
「この単価で受けないと次の仕事は出せない」と言う 取引上の地位を不当に利用したと受け取られかねない
契約した後で、代金を減らす・値引きを求める 合意のない減額は、トラブルと法令違反のもとになる
見積書の労務費を削るよう求める 第20条第6項の見積もりの変更の求めの禁止に触れるおそれがある
工期を詰めて、その分の単価を下げる 著しく短い工期の禁止、時間外労働の上限規制に触れるおそれがある

外注費を下げられないときの考え方

単価の見直しが難しい場合、外注費の総額を減らす方法はほかにもあります。図面・仕様を早く固めて追加の工事を減らす、作業の順番を整えて待ち時間をなくす、小さな工事をまとめる、などです。それでも費用が合わないときは、発注者との契約(工期・代金)の見直しが必要なサインかもしれません。

関連する記事

この記事では、単価の話し合い方と、その法令上の注意だけを扱いました。

ほかの会社の見積もりと比べる

他社の見積もりも、工事範囲や施工条件をそろえれば比較材料になります。比べ方は電気工事の見積もりの取り方と比べ方と管工事・設備工事の見積もりの取り方と比べ方を参照してください。地域の会社の一覧で候補を探し、対応工事や見積もりの可否は各社に直接確認します。

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