ヘルメット姿の担当者が机に並べた3枚の見積書を見比べ、横に電卓が置かれているイラスト。
イメージ図(AIで生成)
発注・費用

電気工事の見積もりの取り方と比べ方|相見積もりで見るべき7項目

目次
  1. 見積もりを頼む前に準備すること
  2. 依頼先の数と選び方
  3. 見積書で比べる7項目
  4. 安さだけで選ばない理由(改正建設業法)
  5. 決めたあとにすること
  6. 関連する記事
  7. 見積もりを頼む会社を探す

相見積もりとは、複数の会社に同じ工事の見積もりを頼むことです。電気工事では、工事の範囲・仕様・工期をそろえた依頼書を各社に渡します。返ってきた見積もりは、範囲・内訳・仕様など7つの項目で比べます。合計額が安くても、必要な工事が含まれていない場合があります。

また、2025年12月12日に完全施行された改正建設業法で、労務費などを著しく下回る見積もりは禁止され、注文者がそうなるような見積もりの変更を求めることも禁止されました。安さだけで選ぶことは、品質の面でも法令の面でもリスクがあります。この記事は2026年10月時点の法令にもとづいています。

見積もりを頼む前に準備すること

各社から同じ前提の見積もりを受け取れるよう、依頼前に次の条件を整理します。

準備すること 内容
工事の目的 何のための工事か(故障の修理、設備の増設、更新、省エネなど)
工事の範囲 どこからどこまでか。撤去・処分、内装の復旧、既存設備の改修を含むか
仕様 機器のメーカー・型番を指定するか、性能だけ指定して提案を求めるか
現場の条件 作業できる曜日・時間帯、停電できる時間、搬入経路、駐車場所
図面・資料 単線結線図(電気の接続を簡略化して示す図)、平面図、既存設備の写真、点検の報告書
工期と予算 完成させたい時期、社内の予算の枠
見積もりの提出期限 現地調査を含めて、十分な日数をとる

建設業法では、注文者は工事の内容などをできる限り具体的に示し、見積もりに必要な期間を設けることになっています。期間は、条件の提示から契約締結または入札まで、原則として予定価格500万円未満の工事で1日以上、500万円以上5,000万円未満で10日以上、5,000万円以上で15日以上です。やむを得ない事情があるときは、後二者に限り5日以内の短縮が認められます(建設業法第20条第3項、施行令第5条の9)。

依頼書の書き方は、工事の見積依頼書の書き方 にひな形があります。

依頼先の数と選び方

  • 依頼先の数は、たとえば2〜3社を社内の比較作業の目安にします。法令で決められた社数ではありません。多すぎると、比べる手間も、各社への説明の手間も増えます。各社にとっても、見積もりを作る負担は小さくありません。
  • 依頼先は、工事の種類に合った会社を選びます。キュービクル(高圧の電気を受けて低圧に変える機器を収めた設備)などの工事、照明・コンセントなど低圧の工事、通信・防災設備など、会社によって得意な分野が違います。
  • 工事の金額・範囲に応じた建設業許可(電気工事業)の要否・有効期限と、施工する会社の電気工事業法の登録・通知(みなし登録・みなし通知を含む)を確認しておきます。

見積書で比べる7項目

# 項目 見るポイント
1 工事の範囲 依頼した範囲がすべて入っているか。「別途」「対象外」と書かれた項目はないか
2 内訳の細かさ 材料費・労務費・経費が分かれているか。「一式」が多すぎないか
3 仕様・機器 機器のメーカー・型番・数量。同じ性能の機器で比べているか
4 工期と作業の条件 着工・完成の時期、作業の日数、停電の時間、夜間・休日の作業の有無
5 体制と資格 現場の責任者、作業する人の資格(電気工事士など)、下請けに出すか
6 保証とアフター対応 施工の不具合の保証の期間、機器のメーカー保証、緊急時の対応
7 条件・前提 見積もりの有効期限、支払いの条件、価格変動の扱い、消費税の扱い

比較表のひな形

社内の承認手続きに使える比較表です。候補1〜3の欄に、実際の依頼先名を記入してください。

比べる項目 候補1 候補2 候補3
合計金額(税抜/税込)
依頼した範囲がすべて入っているか
「別途」「対象外」の項目
材料費・労務費・経費の内訳の有無
主な機器のメーカー・型番・数量
工期(着工〜完成)・作業日数
停電の時間・夜間休日の作業
現場の責任者・作業者の資格
下請けに出す工事の有無
施工の保証の期間・内容
緊急時の連絡先・対応時間
見積もりの有効期限・支払い条件
現地調査をしたか
質問への回答の早さ・分かりやすさ

金額に差があるときは、まず1〜3の項目で範囲と仕様がそろっているかを確かめます。違いがあれば、変更した条件を全社に伝え、同じ前提で再見積もりを頼みます。未確定の費用は比較表に残し、合計額だけで順位を決めないようにします。

「一式」「諸経費」など個々の項目の読み解き方は、電気工事の見積書の見方で確認できます。

安さだけで選ばない理由(改正建設業法)

労務費を著しく下回る見積もりは禁止

改正建設業法では、建設業者は、材料費・労務費・必要な経費の内訳と、工程ごとの日数を書いた見積書(材料費等記載見積書)を作るよう努めることになりました。そのうえで、見積書に書く材料費等の額は、通常必要と認められる額を著しく下回ってはいけません(第20条第1項・第2項)。

作成の努力義務とは別に、注文者から請求された場合、建設業者は契約成立までに材料費等記載見積書を交付する義務があります(第20条第4項)。内訳が分からない場合は、契約前に交付を求めて確認します。

注文者が「削って」と求めることも禁止

注文者は、見積書の材料費等の額が通常必要な額を著しく下回るような変更を求めてはいけません(第20条第6項)。禁止の対象や勧告・公表の条件など、制度の詳細は建設業法の改正で発注者が確認することで解説しています。

原価割れの契約・短すぎる工期は、受注者も禁止

受注者(建設業許可を受けた工事会社)は、原則として、通常必要な原価に満たない金額で契約できません。保有する安価な資材を使える場合など、省令で定める正当な理由がある場合は例外です。著しく短い工期での契約も禁止されています(第19条の3第2項、第19条の5第2項)。極端に安い・短い見積もりは、後から追加の費用を求められたり、品質に問題が出たりするおそれがあります。

値引きの交渉自体が禁止されたわけではありません。仕様の見直し、工事の時期の調整、範囲の整理など、労務費を削らない形で調整しましょう。

決めたあとにすること

  • 契約書(注文書と、受注者が承諾を示す請書など)に、工事の内容、代金、工期、支払いの時期、保証などを書面で残します(建設業法 第19条)。
  • 選ばなかった会社には、早めに結果を伝えます。伝え方は 相見積もりの断り方 に文例があります。

関連する記事

見積依頼書の文例、費用相場、見積書の用語の詳しい説明は、次の記事で扱います。

見積もりを頼む会社を探す

相見積もりの依頼先は、会社をさがす から地域を選んで探せます。各社の会社ページで許可の業種や有効期限を確かめ、候補の会社に直接連絡して見積もりを依頼してください。

出典・参考

電気工事・管工事の会社をさがす

「発注・費用」の記事

発注・費用の記事をすべて見る →