ヘルメット姿の人が室外機にゲージを当てて点検し、チェックリストと冷媒の雫が添えられている。
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業務用エアコンのフロン点検の義務|簡易点検と定期点検の対象・頻度

目次
  1. フロン点検の義務がある人(管理者)とは
  2. 簡易点検と定期点検の違い
  3. 漏えいが見つかったときにすること
  4. 記録の保存と、算定漏えい量の報告
  5. そのまま使える点検台帳のひな形
  6. 関連する記事
  7. 点検や更新を頼める会社を探す

フロン類を冷媒(機器の中で熱を運ぶ物質)とする業務用エアコン・冷凍冷蔵機器は、「第一種特定製品」に当たります。その管理者には、原則3か月に1回以上の簡易点検の義務があります。一定の要件を満たす常時監視システムによる代替も認められています。さらに、圧縮機(冷媒を圧縮する装置)の定格出力が7.5kW以上の機器には、定期点検も必要です。機器の種類と出力によって、年1回以上または3年に1回以上の点検が求められます。詳しい区分は、下の比較表で確認してください(2026年10月時点。環境省・経済産業省の資料による)。

この記事では、施設の設備担当者が「自社の機器のどれが、いつ、何の点検の対象か」を整理できるように、義務の中身と、点検台帳のひな形をまとめます。

フロン点検の義務がある人(管理者)とは

フロン排出抑制法(正式名称は「フロン類の使用の合理化及び管理の適正化に関する法律」)では、フロン類を冷媒とする業務用の冷凍空調機器(自動車リサイクル法の対象となるカーエアコン等を除く)を「第一種特定製品」と呼びます。二酸化炭素やアンモニアなどを冷媒とするノンフロン機器は対象外です。家庭用として作られたエアコン・冷蔵庫は、事務所で使っていても対象外で、家電リサイクル法の扱いになります。

点検の義務を負うのは、その機器の管理者です。環境省・経済産業省の運用の手引きでは、次のように整理されています。

状況 管理者になる人
原則 機器の所有者。法人が所有する機器は、その法人
リース契約 保守・修繕の責任が使用者側にあることが多く、使用者が管理者に当たる場合が多い
レンタル 保守・修繕の責任が所有者側にあることが多く、所有者が管理者に当たる場合が多い
割賦販売 売買と同じとみなされ、使用者が管理者に当たる場合が多い
保守点検を業者に委託している 委託すること自体が保守の責任の果たし方なので、委託した側(発注者)が管理者
区分所有・共有のビル 話し合いなどで、管理者を1者に決める必要がある

保守点検を委託する場合は、特に注意が必要です。点検を保守業者に頼んでも、管理者としての義務は発注した会社に残ります。 業者が点検を怠った場合でも、点検や記録の義務を果たしていなければ、管理者の責任が問われるおそれがあります。契約書で、どちらが管理者かが分かりにくい場合は、所有者と使用者で契約を確認し、はっきりさせておくことが求められています。

簡易点検と定期点検の違い

簡易点検 定期点検
対象 フロン類を冷媒とする第一種特定製品 圧縮機の定格出力が7.5kW以上の機器
頻度 原則3か月に1回以上。要件を満たす常時監視システムによる代替も可 空調機器 7.5kW以上50kW未満: 3年に1回以上
空調機器 50kW以上: 1年に1回以上
冷凍冷蔵機器 7.5kW以上: 1年に1回以上
行う人 資格の定めはない(施設の担当者でもよい) フロン類と機器について十分な知見を有する者(自ら行うか、立ち会う)
内容 異音、外観の損傷・腐食・さび・油漏れ、熱交換器の霜付きなどの確認 簡易点検の内容に加え、直接法(発泡液・検知器など)や間接法(圧力・電流などの計測値の比較)による漏えいの検査

「十分な知見を有する者」の例として、手引きでは冷媒フロン類取扱技術者(第一種・第二種)などの民間資格が挙げられています。第二種は扱える機器の出力に上限があります。保守業者に定期点検を頼むときは、担当者がどの資格・知見で点検するのかを確認しておくと安心です。

定格出力の見方

  • 判定に使うのは、原則として圧縮機(コンプレッサー)を駆動する電動機の定格出力です。ガスヒートポンプ(ガスエンジンで圧縮機を動かす空調機器)などはエンジンの定格出力で判断します。冷房能力や消費電力ではありません。銘板や仕様書で確認します。
  • 1つの冷凍サイクル(冷媒が循環する系統)に圧縮機が複数あるときは、合計で判定します。
  • 分からないときは、メーカーや設置した業者に問い合わせます。

使用を休止している機器の点検

環境省のFAQ Q65・Q66では、休止中の点検を次のように整理しています。

  • 冷媒が封入されている機器は、休止中も3か月に1回以上の簡易点検が必要です。点検のために再起動する必要はなく、油のにじみ・腐食などの目視点検でかまいません。
  • 定期点検の対象機器を、その点検周期を超えて使用しない場合、使用しない期間の定期点検は不要です。ただし、再使用前に定期点検を行います。
  • 冷媒を抜いて保管し、フロン類が充塡されていない機器は、簡易点検・定期点検ともに不要です。

点検台帳には、休止期間・冷媒の有無と、再使用前の定期点検の予定も記録しておきます。

漏えいが見つかったときにすること

簡易点検で異常(異音、油のにじみ、冷えが悪いなど)を見つけたら、可能な限り速やかに専門点検を行います。漏えいが確認されたら、漏れている箇所を特定し、修理します。

注意したいのは、修理しないまま冷媒(フロン類)を補充することは、原則として禁止されている点です。「ガスが減ったので足しておきました」という対応を繰り返すと、法の考え方に反します。保守業者との間で、漏えいを見つけたときの連絡と修理の手順を決めておきましょう。

記録の保存と、算定漏えい量の報告

点検記録簿

  • 機器ごとに、点検・修理、冷媒の充塡(補充)・回収などの履歴を記録します。様式は自由で、紙でも電子でもかまいません。
  • 保存期間は、機器を廃棄し、冷媒の引渡しを終えた日から3年です。
  • 整備業者などから求められたら、記録を見せる必要があります。修理せずに充塡を繰り返していないかを、業者が確認するためです。

算定漏えい量の報告

年度(4月〜翌年3月)ごとに、整備時の充塡量・回収量と、冷媒ごとの地球温暖化係数(温暖化への影響を二酸化炭素と比べた値)から「算定漏えい量」を求めます。法人全体の合計が二酸化炭素換算で1,000トン(t-CO2)以上になった場合は、翌年度に国への報告が必要です。実際に測定した漏えい量そのものとは異なります。報告の要否を判断するためにも、充塡量の記録が欠かせません。

義務を守らなかった場合

2026年9月版の環境省・経済産業省のパンフレットでは、点検・記録などの管理者の判断基準を守らない場合、指導・助言の対象になるとされています。7.5kW以上の機器を持つ管理者は、勧告・公表・命令の対象にもなります。命令に違反すると、50万円以下の罰金です。算定漏えい量の報告を怠ったり、虚偽の報告をしたりした場合は、10万円以下の過料です。

また、機器を廃棄するときに、登録された第一種フロン類充塡回収業者にフロン類を引き渡さないなどの違反には、命令を経ない罰則(直接罰)も定められています。

そのまま使える点検台帳のひな形

社内の機器を一覧にし、点検の予定を管理するための表です。表計算ソフトに写して使ってください。

管理番号・設置場所 種類・型番・圧縮機出力 冷媒の種類・充塡量 管理者・担当者 簡易点検の前回日・次回予定日 定期点検の頻度・前回日・次回期限
[番号・場所] [空調/冷凍冷蔵・型番・kW] [冷媒・量] [法人・部署・担当者] [前回日・次回予定日] [頻度・前回日・次回期限]

予定表とは別に、実施のたびに次の履歴を残し、機器の管理番号で結び付けます。

管理番号 実施日・点検の種類 点検した人(会社・資格) 点検内容・結果 異常への対応・修理履歴 冷媒の充塡(補充)・回収履歴
[番号] [日付・簡易/定期] [氏名・会社・資格等] [確認項目・結果] [対応・修理日] [作業日・冷媒・量・業者]

このひな形は社内の管理用です。実際の点検記録や整備業者の報告書も、同じ管理番号で保管してください。

台帳を作るときのチェックリスト

  • 社内の業務用エアコン・冷凍冷蔵機器をすべて洗い出した(屋上・機械室・テナント貸しの区画も)
  • 機器ごとに、所有・リース・レンタルの別と、管理者がどこかを確認した
  • 銘板などで圧縮機の定格出力を確認し、定期点検の対象と頻度を決めた
  • 簡易点検の担当者と、3か月ごとの実施日を決めた
  • 定期点検を頼む業者と、点検する人の知見(資格)を確認した
  • 漏えいを見つけたときの連絡先と、修理してから充塡する手順を決めた
  • 記録の保存場所と、廃棄等・冷媒の引渡し完了後3年まで保存するルールを決めた

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この記事は、使用中の機器のフロン点検と記録管理を扱います。保守契約の比較、更新工事、廃棄時のフロン回収・書類の詳細は次の記事をご覧ください。

点検や更新を頼める会社を探す

空調設備の点検・修理・更新は、管工事(空調・給排水などの設備工事)の会社が担っていることが多くあります。地域の会社は、会社をさがすから、地域と業種を選んで確認できます。依頼する前に、対応している工事の内容や、点検を担当する人の資格を、各社に直接ご確認ください。

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