電力量の山形グラフが上限の点線で抑えられ、横にメーター盤、下に工場やビルが並ぶ。
イメージ図(AIで生成)
発注・費用

デマンド対策とは|基本料金を見直す設備・工事と発注前に決める条件

目次
  1. デマンドと電気料金の関係
  2. 運用改善・監視・自動制御の違い
  3. 制御できる設備を先に決める
  4. 現地調査と工事の見積もり
  5. 導入後の確認と発注チェックリスト
  6. 関連する記事
  7. 地域の電気工事会社を探す

デマンド対策は、電力を多く使う時間帯の重なりを減らす取り組みです。装置を付けるだけで基本料金が下がるとは限りません。電気の契約、過去のピーク、運転を調整できる設備を調べ、運用改善で対応するか、自動制御の工事まで行うかを決めます。

まず設備担当者と生産・施設運営の担当者で「何を、いつ、どこまで調整できるか」を共有しましょう。この記事は2026年10月時点の情報をもとに、法人の発注条件を整理します。

デマンドと電気料金の関係

デマンドは需要電力のことで、ここでは30分間の平均電力を指します。その最大値が最大需要電力です。電力の大きさを表すkWと、使用した電気の量を表すkWhは区別して見ます。

環境省のデマンド制御の資料は、最大需要電力の管理と、予測に基づく制御を説明しています。瞬間の電力だけでなく、30分ごとの平均値がどう変わるかを見ることが基本です。

デマンドが基本料金に直結するのは、主に高圧以上で受電している施設です。環境省の資料によると、契約電力が500kW以上の場合は電力会社との協議で決まります。500kW未満の場合は「実量制」で、その月と過去11か月の最大需要電力のうち、いちばん大きい値が契約電力になります。

つまり、実量制では、ある月に一度だけ高いピークが出ると、その値が以後1年間の基本料金の基準として残ります。逆に、ピークを下げても、契約電力が下がるのは、過去の高いピークの月が参照期間(その月と過去11か月)から外れた後です。詳しい条件は料金メニューごとに違うため、契約先に、適用中の約款と契約電力の決め方を確かめてください。請求書や検針票に記載された最大需要電力の推移も、最初に見る資料になります。

また、運転を別の時間へ移す「ピークシフト」は、使用電力量そのものの削減とは別です。料金削減の提案では、基本料金への効果と電力量料金への効果を分けて示してもらいます。

運用改善・監視・自動制御の違い

方法 内容 発注前に見る点
運用改善 設備の起動時刻や稼働の組合せを調整します 担当者が毎回実施できるか
デマンド監視 使用状況を記録し、目標超過の予測を警報で知らせます 誰が警報を受け、何を操作するか
自動制御 設定した順序で設備の出力や運転を調整します 対象設備との接続、運転制限、復帰の条件
既存管理装置の活用 建物・工場のエネルギー管理装置の機能を使います 既設機能と追加機器の重複がないか

環境省の資料でも、専用装置のほかに建物や工場のエネルギー管理システムを用いる考え方が示されています。新規導入を決める前に、既存の監視盤や管理ソフトの機能を調べます。

警報だけの提案と、自動制御を含む提案では工事範囲が違います。「デマンド対策一式」という名称だけで比較せず、計測、通知、制御、記録の各機能を分けて見積もってもらいましょう。

制御できる設備を先に決める

運転調整の可否は、設備の名称だけでは判断できません。同じ空調でも、事務室と製品の温湿度管理を行う部屋では条件が違います。安全、品質、衛生、作業環境を保てる範囲を先に決めます。

次の表を設備ごとに埋め、工事会社へ渡すと打ち合わせに使えます。

整理項目 記入する内容
設備名・担当部署 機器番号、使用場所、運転責任者
調整の可否 停止可能、出力調整のみ可能、制御対象外など
許容条件 停止時間、室温、工程状態、再起動の制限
優先順位 最初に調整する設備、最後まで維持する設備
復帰方法 自動復帰か、担当者の確認後に復帰するか
異常時 通信断・装置故障時の動作と連絡先

防災・保安に関係する設備や、停止が事故につながる設備は、設備管理者と設計担当者が制御対象からの除外を含めて検討します。既設機器の保証や運転条件への影響は、機器の保守担当にも確かめてください。

現地調査と工事の見積もり

現地調査には、請求書だけでなく、取得できる期間の需要電力データ、設備一覧、運転時間、電気図面を用意します。ピークが生じた日の生産量、気温、設備の同時稼働も分かる範囲で添えます。

工事会社には、計測信号の取得方法、配線経路、制御対象との接続方法、既存設備の改造の有無を示してもらいます。環境省の資料では、デマンド監視装置は電力会社が設置した取引用の電力量計から信号を受けて計測する例が示されています。取引用の計量器に関係する作業は、電力会社など関係先との手続きの要否を工事会社に確認してもらいます。盤内作業などで停電が必要かも、見積もりの段階で決めておきます。

費用は、本体、計測機器、通信、制御配線、盤の改造、設定、動作確認、運用説明に分けます。導入後の通信料、利用料、保守料、設定変更料も別に確認してください。条件をそろえた公表価格を確認できていないため、金額の目安は示していません。

電気工事を伴う場合は、対象工事に応じた資格・体制を確認します。京都府の手続き案内が示すように、電気工事業の登録・届出の区分は建設業許可の有無などで異なります。許可証だけで確認を終えないようにします。

導入後の確認と発注チェックリスト

効果の確認では、前年同月との請求額の差だけに頼らず、契約条件、稼働時間、操業量、気象条件の変化も見ます。工事完了時には警報・制御・復帰の動作を確認し、設定一覧と操作説明を受けます。

  • 契約電力と基本料金への反映条件を確認したか
  • 過去のピークと、そのとき動いていた設備を調べたか
  • 運用改善だけの案も検討したか
  • 制御対象、対象外、優先順位、許容条件を決めたか
  • 故障・通信断・手動解除時の動作を確認したか
  • 工事費と継続費用を分け、削減試算の前提を受け取ったか
  • 設定変更の担当者と、導入後に評価する時期を決めたか

削減見込みは、現在の契約と実測データに基づく条件付きの試算として扱います。設備増設や生産計画の変更があれば、目標値と制御順序を見直しましょう。

関連する記事

地域の電気工事会社を探す

依頼先の候補は地域の会社一覧から探せます。デマンド監視・制御の施工実績と、既設設備に対応できるかは各社へ直接確認してください。

出典・参考

電気工事・管工事の会社をさがす

「発注・費用」の記事

発注・費用の記事をすべて見る →