マンションの断面で、ヘルメットの作業員が古い配管をオレンジの新しい配管に取り替えているイラスト。
イメージ図(AIで生成)
発注・費用

ビルの給排水管の更新時期と費用の内訳|更生工事との違いと業者の選び方

目次
  1. 更新を考える目安は年数と症状です
  2. 更生工事と更新工事の違い
  3. 費用は配管以外の範囲まで比較します
  4. 断水・入室の計画を先に共有します
  5. 依頼先は同じ利用条件での実績を確かめます
  6. 出典
  7. 関連する記事
  8. 地域の管工事会社を探す

ビル・マンションの給排水管は、年数だけで交換を決めず、材質・漏水履歴・劣化診断から更新範囲を決めます。国土交通省のマンション向けガイドラインでは、共用給排水管の取替えの修繕周期を30〜40年としています。ただし、これは計画を立てる目安です。「その年まで使える」という保証でも、一律の交換期限でもありません。

費用は、管の長さだけでなく、天井・壁の解体復旧、入室の必要性、断水中の仮設で変わります。この記事では根拠と施工条件をそろえた相場金額を示せないため、費用の内訳と、見積もりの前にそろえる条件を解説します。制度・費用に関する説明は2026年10月時点です。

更新を考える目安は年数と症状です

修繕周期は調査のきっかけにします

国交省ガイドラインの参考表(本文84ページ)では、給水管・排水管の更生は19〜23年、取替えは30〜40年です。更生は、既存の管を利用して内面を補修する工事です。主に屋内共用給水管・屋内共用雑排水管が対象です。雑排水管は、台所や浴室などの排水を流す管を指します。取替えは、屋外を含む共用管などが対象です。すべての管に、必ず更生をしてから取替えるという意味ではありません。

この資料はマンションの長期修繕計画向けです。事務所ビルや店舗では、利用時間、排水の性状、過去の改修内容も踏まえ、調査会社に適用の妥当性を確かめます。竣工年と配管の施工年が違う場合もあるため、更新履歴を先に整理します。

症状と発生箇所を記録します

次の表は、原因を断定するためではなく、調査依頼の情報をそろえるためのものです。

記録する症状 一緒に伝える情報
漏水、天井や壁の水染み 階・部屋・日時、応急処置、過去に同じ箇所を直したか
赤水、濁り、出水量の変化 発生する蛇口、時間帯、建物全体か一部か
詰まり、逆流、排水音、臭気 使用器具、清掃履歴、雨天時との関係
露出部分のさび、継手付近のにじみ 写真、管の材質、保温材の状態

漏水が続いている場合は、更新計画の検討と並行して応急対応を依頼します。症状だけから「管全体の寿命」と決めず、設備・器具側の不具合も含めて調べてもらいます。

図面確認から必要な診断へ進みます

マンションリフォーム推進協議会は、排水管の調査を、聞き取り・目視・図面や履歴の収集、管内カメラ、必要に応じた管の抜取り調査という段階で紹介しています。カメラだけですべての劣化を確定できると考えず、何を確認でき、何が残るかを報告書に明記してもらいましょう。

更生工事と更新工事の違い

更生工事は既存管を生かして内面を補修する工事、更新工事は新しい管に取り替える工事です。更生には内面に樹脂などの保護層を形成するライニング等があります。工法ごとの適用条件を調査結果と照合します。

比較する点 更生工事 更新工事
既存管 既存の管を利用します 対象の管を取り替えます
検討の前提 管の材質・残っている厚さ・損傷状態が工法に適するか確認します 新しい管の経路、接続、撤去方法を確認します
調べる範囲 継手や枝分かれ部分まで施工できるか確認します バルブ・支持金物・周辺設備も対象にするか決めます
使用への影響 清掃・施工・養生中の使用制限を確認します 撤去・切替え中の断水や排水制限を確認します
完了後 施工範囲と検査記録を残します 配管経路と試験記録を残します

国交省の配管改修の参考資料も、雑排水管の更生について、管の厚さが残っている場合を挙げています。更生がすべての老朽管に使えるとは限りません。穴あきや変形、水が流れるための傾斜の不良がある箇所をどう処置するか聞きます。施工できない部分を残すかも確認します。

「更生の方が必ず安い」「更新なら断水が長い」といった一律の比較は避けます。同じ対象範囲で、施工できる条件、使用制限、次回の修繕計画まで説明を受けて選びます。

費用は配管以外の範囲まで比較します

費用項目 見積もりで確認する点
調査・設計 図面照合、管内調査、必要な抜取り調査、工法検討、石綿事前調査の担当と費用範囲
配管・継手・バルブ 管材、口径、延長、接続部、交換する弁類
更生の施工 下地処理、施工範囲、適用できない箇所の処置
撤去・処分 残置する管の有無、廃材の搬出・処分、石綿含有が判明した場合の必要な対策と処分の担当・費用範囲
建築部分の復旧 天井・壁・床の開口、点検口、内装の復旧範囲
仮設・養生 仮設給水、利用者の動線、家具等の養生
試験・引渡し 通水・漏水確認、必要な洗浄や水質確認、完成図書
現場管理・諸経費 入室調整、夜間・休日作業、申請・立会い

厚労省の案内では、建築物の改修に伴う給排水設備工事も、石綿(アスベスト)の事前調査の対象として示されています。天井・壁の開口や配管・保温材の撤去を含め、改修する部分の調査範囲を施工会社と確認します。石綿が含まれる場合のばく露防止措置や廃材の処分についても、見積もりに含む範囲と追加費用の条件を決めましょう。

同じ「給水管更新一式」でも、建物の上下階をつなぐ共用の立て管だけか、各室へ分岐する枝管までかで条件が違います。マンションでは管理規約等を確認します。共用部分と、各区分所有者が所有する専有部分について、工事範囲・費用負担・入室への同意を整理してから見積もりを頼みます。配管の位置だけで所有や費用負担を決めつけないことが大切です。

図面と現況が違う場合に備え、追加工事の承認方法も決めます。「開けてみないと分からない部分」は、想定条件と、変更時の単価・協議方法を見積書に添えてもらいます。

断水・入室の計画を先に共有します

工期全体と、実際に水を使えない時間は分けて確認します。給水を止める工事と、排水を流せない工事でも利用者への案内が違います。次の項目を見積依頼書に入れると、各社の提案を比較しやすくなります。

  • 工事対象を図面に色分けし、対象外の管・器具も示したか
  • 断水・排水制限が可能な曜日と時間帯を伝えたか
  • 営業・診療・製造など、水を止められない用途を伝えたか
  • 入室が必要な部屋と、鍵・立会いの担当者を決めたか
  • 仮設給水や代替トイレ等の要否を協議したか
  • 切替えに失敗した場合の復旧方法と連絡先を確認したか
  • 使用再開の判定と利用者への通知を誰が行うか決めたか

一度に全部を施工する案と、系統・階ごとに分ける案では、仮設や調整の負担も変わります。最短の工期だけを求めず、利用制限を守れる工程かを確認してください。

依頼先は同じ利用条件での実績を確かめます

管工事業の建設業許可を確認するだけでなく、使用中のビルでの更新実績、調査から復旧までの担当範囲、漏水時の連絡体制を確かめます。更生の提案を受ける場合は、その工法の施工体制と検査方法も確認します。

給水装置工事では、管工事業の建設業許可とは別に、対象の水道事業者の指定や手続きを確認します。指定が必要な工事の範囲と公式名簿での調べ方は、指定給水装置工事事業者の記事で扱います。候補探しの段階で、今回の更新範囲に必要な指定を持つ会社が施工するかを確かめましょう。

候補各社への現地調査依頼には、次の文例を使えます。未確認の項目は推測で埋めず、「不明」と伝えます。

給排水管の更新を検討しています。図面、過去の漏水・補修履歴、利用時間帯を共有しますので、調査が必要な範囲をご提案ください。更生と更新それぞれの適用可否と理由、共用・専有部分の対象範囲、断水・排水制限、内装復旧を含む見積条件を確認したいと考えています。未調査部分と追加費用が生じる条件も明記してください。

契約前には、調査で分かった劣化と未調査部分、施工範囲、断水条件、復旧範囲を一つの資料にまとめてもらいましょう。保証の対象・期間と、保証が適用されない条件(免責事項)も確認します。

出典

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排水の清掃と改修の判断、受水槽そのものの更新、見積もり全体の比較手順は、次の記事で扱います。

地域の管工事会社を探す

地域の会社の一覧から、管工事会社の候補を探せます。給排水管の調査・更生・更新への対応と、対象の水道事業者での指定の有無は、各社と水道事業者へ直接確認してください。

出典・参考

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