マンションの地上の受水槽をクレーンで入れ替える、ヘルメット姿の作業者の場面。
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発注・費用

受水槽(貯水槽)の更新工事|時期・費用の内訳と直結給水への切り替え

目次
  1. 更新の時期を判断するポイント
  2. 受水槽に関わる法定の管理
  3. 更新か、直結給水への切り替えか
  4. 工事の流れと、断水の段取り
  5. 見積もりで確認すること
  6. 関連する記事
  7. 地域の管工事会社を探す

受水槽は、水道から供給される水を建物でいったん貯める設備で、貯水槽の一種です。ビル・マンションでの更新は、定期的な清掃・点検で見つかる劣化と、建物をあと何年使うかで時期を決めます。更新するときは、同じ受水槽に入れ替えるだけでなく、受水槽をなくして水道の配水管から直接給水する「直結給水」への切り替えも選択肢になります。ただし、直結給水にできるかどうかは、水道事業者(市町村の水道局など)の条件と、建物の規模・用途で決まります(2026年10月時点)。

費用は、槽の容量・材質だけでなく、撤去・搬入・配管接続・仮設給水(工事中に一時的な設備で水を供給すること)の範囲で変わります。まず点検記録と使用水量をそろえ、更新案と直結給水案の工事費・維持管理費・断水への備えを比べます。条件を示せる費用根拠がないため、この記事では一律の相場額ではなく、見積もりの内訳を整理します。

更新の時期を判断するポイント

受水槽は、材質(FRP=繊維強化プラスチック、ステンレス、鋼板など)や設置の環境で劣化の進み方が違います。一律の交換年数だけで判断せず、点検で分かった劣化の状態を確認します。次のような状態が、更新を考えるきっかけになります。

見るところ 劣化のサイン
槽の本体 ひび割れ、変形、にじみ・漏水、パネルの継ぎ目の劣化
内面 FRPの表面の劣化、ステンレスのさび、藻の発生(光が透けている)
架台(槽を支える台)・基礎 鋼製の架台のさび・腐食、固定用のアンカーボルトの劣化
マンホール(点検用の開口部)・通気管・オーバーフロー管(満水時に水を逃がす管) ふたの密閉不良、防虫網の破れ(汚染の原因になる)
水位を調整・検知する部品(ボールタップ・定水位弁・電極) 水位の制御の不調、満水・減水の警報
給水ポンプ 異音、圧力の不安定、故障の頻度
水質 清掃・検査での指摘、残留塩素(水中に残る消毒用の塩素)の不足

水質異常がある場合は、更新の検討に先立ち、管理業者や保健所などに相談して原因を調べ、必要な水質検査を行います。残留塩素の不足などは、槽の更新だけで解消するとは限りません。簡易専用水道では、水道法施行規則第55条により、供給する水が人の健康を害するおそれを知ったときは、直ちに給水を停止し、その水の使用が危険であることを関係者に周知する措置が必要です。安全の確保は、更新計画と分けて対応します。

清掃業者や検査機関の報告書に書かれた指摘を、年ごとに並べて見ると、劣化が進んでいるかどうかが分かります。

また、更新は次のタイミングと合わせると、工事の手間や断水の回数を減らせます。

受水槽に関わる法定の管理

更新の時期を考える前に、今の管理の記録を確かめます。点検・清掃・検査の記録は、劣化の進み方を知る材料になります。

区分 対象 主な決まり
簡易専用水道(水道法) 水道事業者から供給される水だけを水源とし、受水槽の有効容量の合計が10立方メートルを超えるもの(専用水道に当たるものなどを除く) 水槽の掃除を毎年1回以上、定期に行う。水槽の点検など汚染を防ぐ措置。毎年1回以上、定期に管理状況の検査を地方公共団体の機関または国土交通大臣及び環境大臣の登録を受けた検査機関から受ける
特定建築物(建築物衛生法) 事務所・店舗など特定用途部分の延べ面積が原則3,000平方メートル以上の建物(専ら学校教育法第1条の学校の用途に使う建物は8,000平方メートル以上) 貯水槽の清掃を1年以内ごとに1回、定期に行う
10立方メートル以下の受水槽 簡易専用水道に当たらないもの 自治体の条例・要綱で、管理の基準や報告を定めていることがある

簡易専用水道の清掃と、第三者による管理状況の検査は別です。特定建築物には、水質検査や残留塩素の確認なども必要です。受水槽の容量だけで管理制度を決めず、専用水道への該当や自治体の条例も管轄の保健所・水道事業者へ確認してください。

更新か、直結給水への切り替えか

給水の方式

方式 仕組み
受水槽式 水道水をいったん受水槽に貯め、ポンプで各階に送る(高置水槽に上げる方式もある)
直結直圧式 配水管の水圧だけで、蛇口まで直接給水する
直結増圧式 給水管の途中に増圧ポンプを置き、高い階まで直接給水する

比べるポイント

ポイント 受水槽式で更新 直結給水に切り替え
受水槽の清掃・点検 続く 受水槽がなくなるので不要になる
断水・停電のとき 槽に貯まった分は一時的に使える(停電でポンプが止まると給水できない) 貯める機能がないので、断水のときは給水が止まる
設置スペース 受水槽の場所が要る 受水槽の撤去後の場所を活用できる場合がある。増圧式ではポンプの設置場所が必要
維持管理 受水槽の清掃・検査、ポンプの保守 増圧式ではポンプの定期点検。横浜市は年1回の点検を案内しているため、現地の水道事業者の条件を確認する
水道メーター 変わらない 口径が大きくなると、基本料金が上がることがある
導入できるか — 水道事業者の条件(配水管の水圧・口径、建物の規模、使用水量)による

直結給水にできない、または向かない建物

水道事業者は、給水装置の工事の基準(施行指針など)で、受水槽式にすべき建物を定めています。千葉市水道局の案内では、たとえば次のような施設が挙げられています。

  • 一時に多量の水を使う施設、断水の影響が大きい施設(病院、ホテル、冷却用水を使う施設など)
  • 逆流によって配水管の水を汚すおそれのある物質を扱う工場など(クリーニング、メッキ、印刷・製版、食品加工など)

条件は水道事業者ごとに違うので、**まず建物のある地域の水道事業者に、直結給水にできるかを相談(事前協議)**します。

費用の負担と工事をする会社

  • 直結増圧式への切り替えでは、増圧ポンプの設置、配水管への接続、維持管理の費用は設置者の負担とされるのが一般的です(横浜市などの案内)。
  • 直結給水にすると、配水管から蛇口までが「給水装置」になります。給水装置の工事は、軽微な変更などの例外を除き、その水道事業者の指定給水装置工事事業者へ依頼するのが基本です。管工事業の建設業許可だけでは、指定を受けているかは分かりません(指定給水装置工事事業者の調べ方)。
  • 受水槽式のまま更新する場合も、受水槽の手前(入口側)までの工事は給水装置の工事になるため、同じく指定の有無を確認します。

受水槽式では、給水装置の範囲は受水槽の入口までで、受水槽以降は別の設備になります(真岡市の給水装置の案内)。更新の見積もりでは、入口側の工事を含むかも確認してください。

工事の流れと、断水の段取り

段階 内容 管理者がすること
1. 調査 槽・架台・配管・ポンプの状態、使用水量の確認 清掃・検査の報告書、図面を渡す
2. 方式の検討 受水槽の更新か、直結給水か。水道事業者との事前協議 協議の結果を確認する
3. 見積もり・発注 複数社に同じ条件で依頼する 次の章の項目をそろえる
4. 仮設給水の計画 工事中に水を止めない方法(仮設の水槽・仮設配管)か、断水の時間を決める 入居者・テナントへの周知(掲示、日時、トイレの使用)
5. 撤去・据え付け 古い槽の解体・搬出、新しい槽の組み立て(パネル式は現地で組み立てる) 搬入経路・作業場所の確保
6. 清掃・水質検査 使い始める前の洗浄・消毒・水質の確認 検査結果の受け取り
7. 引き渡し 図面、機器の取扱説明書、保証書 管理の記録を更新する

見積もりで確認すること

受水槽の更新の費用は、槽の容量・材質・設置場所(屋上・地下・屋外)・搬入の条件・仮設給水の有無で大きく変わります。見積額を比べるときは、次の項目で工事範囲や条件をそろえてください。

項目 確認する点
槽の仕様 容量(今と同じでよいか、使用水量から見直すか)、材質、パネルの構成、耐震の仕様
撤去・処分 古い槽・架台の解体、搬出、処分費
架台・基礎 架台の交換が含まれるか、基礎の補修が要るか
配管の接続 入口・出口・オーバーフロー・排水の配管の範囲
付属品 ボールタップ・定水位弁・電極・マンホール・通気管
仮設給水 仮設の水槽・配管・ポンプの費用。断水で行う場合は不要か
搬入・揚重(機器をつり上げて運ぶ作業) 屋上ならクレーンの費用、道路の使用の手続き
洗浄・水質検査 使用開始前の検査が含まれるか
直結給水の場合 水道事業者への申請、増圧ポンプ、メーターの口径変更、水道事業者に納める費用

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この記事では、受水槽の更新と直結給水への切り替えを扱いました。次のテーマは、それぞれの記事で説明しています。

地域の管工事会社を探す

地域の管工事会社の一覧を候補探しの入口にし、受水槽の更新実績や仮設給水の対応は各社に直接確認してください。入口側の配管工事や直結給水への切り替えを含む場合は、水道事業者の公式の指定給水装置工事事業者名簿で指定の有無も確かめます。

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出典・参考

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