電気工事を頼むときは、会社の登録・通知、工事に応じた建設業許可、作業者の資格の3点を別々に確かめます。電気工事業法の登録・通知には、建設業許可を持つ会社の「みなし登録・みなし通知」も含まれます。
この3つは別々の制度です。電気工事業法の登録・通知は、電気工事の安全(保安)のための制度で、建設業法の許可は、建設工事の請負の適正化のための制度です。建設業の許可を持つ会社には、「みなし登録・みなし通知」の区分が適用されます。それでも、電気工事業を始めたことの届出・通知は必要です。作業する人の資格も別に確認します(2026年10月時点の法令にもとづきます)。
電気工事業法の4つの区分
電気工事業法(正式名称「電気工事業の業務の適正化に関する法律」)は、電気工事業を営む会社を次の4つに分けています。「電気工事業者」は、この4つすべてを指します。表の「電気工作物」とは、発電・受電・配電などに使う電気設備のことです。
表の自家用電気工作物は、電気工事業法の対象となる最大電力500kW未満の需要設備などを指します。最大電力500kW以上の需要設備、発電所・変電所などは同法の対象外です。 高圧で受電するかだけでは、登録・通知の要否を判断できません。
| 区分 | 当てはまる会社 | 扱える電気工作物 | 手続き | 有効期間 | 主任電気工事士 | 根拠 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 登録電気工事業者 | 建設業の許可を持たず、一般用電気工作物等の工事をする会社 | 一般用電気工作物等・自家用電気工作物 | 事業を始める前に登録 | 5年(更新が必要) | 一般用電気工事を行う営業所ごとに必要 | 第3条・第19条 |
| 通知電気工事業者 | 建設業の許可を持たず、自家用電気工作物の工事だけをする会社 | 自家用電気工作物のみ | 事業を始める日の10日前までに通知 | なし | 不要 | 第17条の2 |
| みなし登録電気工事業者 | 建設業の許可を持ち、一般用電気工作物等の工事をする会社 | 一般用電気工作物等・自家用電気工作物 | 電気工事業を始めたら遅滞なく届出 | なし(登録の規定は適用されない) | 一般用電気工事を行う営業所ごとに必要 | 第34条第2項・第4項 |
| みなし通知電気工事業者 | 建設業の許可を持ち、自家用電気工作物の工事だけをする会社 | 自家用電気工作物のみ | 始めたら遅滞なく通知 | なし | 不要 | 第34条第3項・第5項 |
- 登録・通知の先は、2つ以上の都道府県に営業所があれば経済産業大臣、1つの都道府県だけならその都道府県知事です(第3条第1項・第17条の2第1項)。実際の窓口は、都道府県によっては出先機関や市になることがあります。
- みなし登録・みなし通知の「建設業者」は、建設業法の許可を受けた会社のことです(電気工事業法第34条第1項、建設業法第2条第3項)。
- 登録電気工事業者が建設業の許可を受けると、それまでの登録は効力を失います(第34条第6項)。その後はみなし登録電気工事業者として届出をします。
対象となる設備を確認する
一般用電気工作物等には、住宅や小規模な店舗の設備などがあります。同法の対象となる自家用電気工作物には、最大電力500kW未満の高圧受電のビル・工場の需要設備などがあります。依頼先には、現場の設備区分と頼む作業を伝え、上の表の区分で対応できるか確認します。
設備の区分ごとに作業できる資格と、その例外は電気工事士の資格の確認方法で整理しています。
建設業法の許可(電気工事業の許可)
建設業法の許可は、工事の請負の営業についての許可です。電気工事は29業種のひとつ「電気工事業」に当たります。工事1件の請負代金が500万円以上(税込み)になる工事を請け負うには、許可が必要です。注文者が材料を支給する場合は、その市場価格と運送賃も含めて計算します(建設業法第3条第1項、施行令第1条の2)。
| 比べる点 | 電気工事業法の登録・通知 | 建設業法の許可(電気工事業) |
|---|---|---|
| 目的 | 電気工事の欠陥による災害の防止(保安) | 建設工事の適正な施工と、発注者の保護 |
| 所管 | 経済産業大臣・都道府県知事 | 国土交通大臣・都道府県知事 |
| 必要になる場面 | 同法の対象となる設備の電気工事業を営むとき(金額の下限なし) | 1件500万円以上の工事を請け負うとき |
| 主な要件 | 主任電気工事士(営業所で一般用電気工事の保安を監督する人)の設置(登録・みなし登録)、器具の備付けなど | 経営業務の管理体制、営業所ごとの技術者、財産的基礎など |
| 確かめ方 | 登録番号・標識(第25条)、届出の控え | 国土交通省の検索システム、許可通知書の写し |
電気工事業法の対象は、同法上の電気工事を他者から依頼され、自ら反復・継続して施工する事業です。対象となる工事なら金額の下限はありません。一方、電気工事士法施行令の「軽微な工事」や、法律で除外される家庭用電気機械器具の販売に付随する限定的な工事などは対象外です。施工をすべて下請けに出し自ら施工しない場合も含め、対象外かどうかは具体的な業務で判断します。
建設業の許可の業種や有効期限の調べ方は、建設業許可の調べ方で解説しています。
建設業の許可があっても、別に必要なこと
建設業の許可を持つ会社は、電気工事業法の登録を受けた(または通知をした)ものとみなされます。ただし、次のことは別に必要です。
- 電気工事業を始めたことの届出・通知: みなし登録は届出、みなし通知は通知を、遅滞なく経済産業大臣または都道府県知事にします(第34条第4項・第5項)。
- 主任電気工事士の設置: みなし登録電気工事業者も、一般用電気工事の業務を行う営業所ごとに設置が必要です。資格要件と役割は主任電気工事士とはを参照してください。
- 作業する人の資格: 登録・許可の書類とは別に、現場の作業内容に合う免状・認定証を確認します。資格の種類と確認手順は電気工事士の資格の確認方法で解説しています。
- 標識・帳簿: 営業所と施工場所ごとに、名称・登録等の区分に応じた事項を書いた標識を掲げ(第25条)、営業所ごとに帳簿を備えて保存します(第26条)。
つまり、建設業の許可(電気工事業)があることは、その会社の作業員が電気工事士であることの証明にはなりません。資格者の確認は別に行います。電気工事士の資格の確かめ方は、電気工事士の資格の確認方法で解説しています。
依頼先での確認方法
元請けや法人の発注者が、電気工事の依頼先・協力会社を確かめるときの手順です。
ステップ1: 建設業の許可を確かめる
- 国土交通省の「建設業者・宅建業者等企業情報検索システム」で、電気工事業(略号「電」)の許可と有効期限を見ます。
- 500万円未満の工事だけを頼む場合、建設業の許可がない会社に頼むこともできます。その場合も、電気工事業法の対象となる設備の工事なら、ステップ2の登録・通知を確認します。
ステップ2: 電気工事業法の区分と番号を確かめる
- 「登録」「通知」「みなし登録」「みなし通知」のどれかを聞き、登録番号・届出の控えの写しをもらいます。
- まず設備が電気工事業法の対象かを確認します。対象となる自家用電気工作物(最大電力500kW未満の需要設備など)の工事だけなのか、一般用電気工作物等の工事もあるのかで、必要な区分が変わります。一般用の工事を頼むなら、通知・みなし通知の会社ではなく、登録・みなし登録の会社です。
- 営業所と現場に掲げる標識(第25条)にも、名称や登録等の区分に応じた事項が書かれています。
ステップ3: 作業する人の資格を確かめる
- 現場に入る人の電気工事士免状(第一種・第二種)や、認定電気工事従事者・特種電気工事資格者の認定証を確認します。
- 協力会社の作業員名簿に、資格の種類と番号を書いてもらう方法もあります(安全書類(グリーンファイル)とは)。
元請けとして気をつける点: 電気工事業者は、請け負った電気工事を、その工事に係る電気工事業を営む電気工事業者でない者に請け負わせてはなりません(電気工事業法第22条)。同法の対象となる電気工事を協力会社に出すときは、相手がステップ2の区分に当てはまることを確かめます。
依頼先に確認する項目(コピーして使えます)
【電気工事の依頼先 確認表】
□ 建設業の許可:あり(大臣・知事/一般・特定/許可番号: /有効期限: )・なし
□ 電気工事業法の区分:登録・通知・みなし登録・みなし通知(番号・届出日: )
□ 設備と電気工事業法の適用:一般用電気工作物等/同法の対象となる自家用電気工作物/対象外(根拠: )
□ 主任電気工事士(登録・みなし登録の場合):氏名 資格:第一種・第二種(実務3年以上)
□ 現場に入る作業員の資格:第一種 名/第二種 名/認定電気工事従事者 名/特種電気工事資格者(種類: ) 名
□ 確認した書類:許可通知書の写し・登録通知書の写し・免状の写し・作業員名簿
□ 確認日: 年 月 日 確認者:
関連する記事
作業者の資格の詳しい範囲、主任電気工事士の要件、建設業許可の検索手順は、次の記事で扱います。
- 電気工事士の資格の確かめ方: 電気工事士の資格の確認方法
- 電気工事施工管理技士: 電気工事施工管理技士とは
- 主任電気工事士: 主任電気工事士とは
- 電気工事業の範囲と許可・資格: 電気工事業とは
- 建設業許可の調べ方: 建設業許可の調べ方
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