電気工事の作業をする人は、原則として電気工事士の資格が必要です。免状の原本や写しで、種類・交付番号・交付年月日・氏名を確かめます。資格の種類が、現場の設備と実際の作業に合っているかも確認してください。
第二種は住宅や小規模な店舗などの工事、第一種は最大電力500kW未満の自家用電気工作物の工事も扱えます。ただし、非常用発電機などの特殊な工事には別の認定証が必要です。設備の区分と資格ごとの範囲は、下の表で整理します。
電気工事士には作業中の免状の携帯義務があります(電気工事士法第5条第2項)。現場で提示を求めることもできます。作業者の資格とは別に、会社の電気工事業法の登録・通知も確認します。建設業許可を持つ会社の「みなし登録・みなし通知」も対象です(2026年10月時点の法令にもとづきます)。
資格の種類と、できる工事
電気工作物の区分
電気工作物とは、発電・受電・配電などに使う電気設備のことです。電気工事士法では、工事の対象を次のように分けています(第2条)。
| 区分 | 主な例 | 作業できる資格 |
|---|---|---|
| 一般用電気工作物 | 住宅、低圧(600V以下)で受電する小規模な店舗・事務所の電気設備 | 第一種・第二種電気工事士 |
| 小規模事業用電気工作物 | 一定規模未満の太陽光発電設備・風力発電設備など | 第一種・第二種電気工事士 |
| 自家用電気工作物(最大電力500kW未満の需要設備など) | 高圧(6,600Vなど)で受電し、キュービクル(高圧の電気を受けて低圧に変える機器を収めた設備)を持つ工場・ビル・病院・学校 | 第一種電気工事士(下の例外あり) |
| 最大電力500kW以上の需要設備、発電所、変電所など | 大規模な工場・ビル | 電気工事士法の対象外(電気事業法にもとづき、電気主任技術者(設備の電気保安を監督する人)の監督のもとで保安を確保) |
第一種と第二種の違い
| 第一種電気工事士 | 第二種電気工事士 | |
|---|---|---|
| できる工事 | 一般用・小規模事業用 + 自家用(500kW未満) | 一般用・小規模事業用 |
| 免状の条件 | 第一種試験に合格し、3年以上の実務経験(または同等と認定) | 第二種試験の合格、養成施設の修了など |
| 定期講習 | 原則、初回は免状交付日から5年以内、以後は前回受講日から5年以内に受講(第4条の3) | なし |
| 免状の交付 | 都道府県知事 | 都道府県知事 |
自家用電気工作物の例外(特種・認定)
自家用電気工作物でも、次の工事は別の資格で扱います(電気工事士法第3条第3項・第4項、施行規則第2条の2・第2条の3)。
| 資格 | 作業できる範囲 | 交付 |
|---|---|---|
| 特種電気工事資格者(ネオン工事) | 自家用のネオン設備の工事 | 経済産業大臣 |
| 特種電気工事資格者(非常用予備発電装置工事) | 電気工事士法の対象となる自家用の非常用予備発電装置の工事(原動機・発電機・配電盤と附属設備。配電盤のうち、他の需要設備との間の電線との接続部分を除く) | 経済産業大臣 |
| 認定電気工事従事者 | 自家用電気工作物のうち、600V以下で使用する部分の工事(電線路(電気を送るための電線と支持物など)を除く) | 経済産業大臣 |
たとえば、電気工事士法の対象となる最大電力500kW未満の需要設備で、非常用予備発電装置の特殊電気工事を行うには、第一種の免状だけでは足りず、**特種電気工事資格者(非常用予備発電装置工事)**の認定証が必要です。同法の対象となる自家用設備の600V以下の部分では、電線路を除く簡易電気工事を認定電気工事従事者が行えます。
資格がなくてもできる作業
次のような「軽微な工事」「軽微な作業」は、資格がなくても行えます(施行令第1条、施行規則第2条)。
- 600V以下で使う差込み接続器・開閉器にコードをつなぐ工事
- 600V以下で使う電気機器(配線器具を除く)や蓄電池の端子に電線をねじ止めする工事
- インターホン・火災感知器などに使う小型変圧器(二次電圧36V以下)の二次側の配線
- 施行規則で軽微な作業に区分される露出型点滅器・露出型コンセントの取り換え(器具の新設・増設や電線相互の接続などは別に判断)
- 電気工事士が行う作業の補助
機器の端子と配線器具の端子は別です。 コンセントに電線を接続する作業すべてが資格不要になるわけではありません。電線相互の接続、配線器具の新設、電線管への入線など、資格が必要な作業が含まれるかを施工会社に確認します。
確認の方法
1. 免状の写し(または原本)で確かめる
免状の種類、交付番号、交付年月日、氏名、生年月日を確認します。交付は都道府県知事が行います。協力会社には、現場に入る作業者の免状の写しを、作業員名簿と一緒に出してもらうのが一般的です。
| 確認する項目 | 見るポイント |
|---|---|
| 種類 | 工事の対象(一般用か自家用か)に合った種類か |
| 氏名 | 作業員名簿・本人確認書類の氏名と一致するか |
| 交付者・交付番号 | 都道府県知事の交付で、番号が読み取れるか |
| 交付年月日(第一種) | 定期講習の受講時期の目安になる。講習の修了の状況も確かめる |
| 特種・認定 | 非常用発電機・ネオン・低圧部分だけの工事なら、認定証の種類 |
2. 現場で提示を求める
電気工事士・特種電気工事資格者・認定電気工事従事者は、作業に従事するとき、免状・認定証を携帯していなければなりません(第5条第2項)。入場時の確認や、安全パトロールのときに提示を求められます。
3. 合格の情報と免状を区別する
試験の合格は、免状の交付と同じではありません。特に第一種では、試験合格後に実務経験などの交付要件を満たす必要があります。合格通知だけで判断せず、免状や認定証を確認してください。記載内容に疑問があるときは、本人を通じて交付した都道府県の窓口へ確認します。
免状の写しには個人情報が含まれます。利用目的(資格の確認)を伝え、必要な範囲で受け取り、保管期間と保管方法を決めておくようにします。
会社として確認しておくこと
作業者の資格に加え、会社の電気工事業法の登録・通知(みなし登録・みなし通知を含む)と、工事に応じた建設業許可を確認します。制度の区分と確認書類は電気工事業の「登録」と建設業の「許可」の違い、営業所に置く主任電気工事士の要件は主任電気工事士とはを参照してください。
会社には、資格者の在籍だけでなく、今回の現場で誰がどの作業を担当するかを確認します。名簿と免状・認定証を照合し、作業者を変更するときも同じ確認を行います。
協力会社に出してもらう書類のチェックリスト
- 作業員名簿(資格欄に、電気工事士の種類・免状番号)
- 資格が必要な作業を担当する人の免状・認定証の写し(作業内容に応じて第一種・第二種・特種・認定)
- 第一種電気工事士の定期講習の受講状況
- 会社の電気工事業法の登録・通知を確認できる書類(みなし登録・みなし通知を含む)
- 建設業許可の通知書の写し(500万円以上の工事のとき)
- 当日の作業者が名簿と違う場合の連絡ルール
関連する記事
会社の登録・許可の区分や、取引開始時の書類全般は、次の記事で扱います。
- 会社に必要な登録と建設業許可: 電気工事業の「登録」と建設業の「許可」の違い
- 電気工事施工管理技士の1級・2級の見方: 依頼先を選ぶときの「電気工事施工管理技士」の見方
- 主任電気工事士の役割: 主任電気工事士とは
- 電気工事業の範囲と許可: 電気工事業とは
- 取引を始めるときに集める書類: 協力会社と取引を始めるときの必要書類と手順
地域の電気工事会社を探す
建設業許可(電気工事業)の業種・有効期限が公開データで確認できる会社を、地域ごとに一覧にしています。



