主任電気工事士は、一般用電気工事を行う営業所ごとに置く、作業の管理者です。一般用電気工事とは、「一般用電気工作物等」に関わる工事です。住宅・小規模店舗の低圧受電設備や、対象となる小規模発電設備などの工事が含まれます。なれるのは、第一種電気工事士か、第二種電気工事士の免状を受けてから3年以上の実務経験がある人です(電気工事業の業務の適正化に関する法律=電気工事業法 第19条。経産省の逐条解説・佐賀県掲載)。
建設業許可を持つ会社も、一般用電気工事を行う場合は「みなし登録電気工事業者」として、この設置ルールが適用されます。自家用電気工事だけを行う「みなし通知電気工事業者」には、主任電気工事士の設置義務はありません。この記事では、2026年10月時点の法令にもとづいて、制度と、依頼先を確かめるときのポイントを説明します。
電気工事業の「登録」と主任電気工事士
主任電気工事士の設置が必要かは、一般用電気工事を行う営業所かどうかで確認します。
| 依頼先の営業所が行う工事 | 主任電気工事士の設置 |
|---|---|
| 一般用電気工事を行う(自家用電気工事も行う場合を含む) | 登録電気工事業者・みなし登録電気工事業者とも、その営業所ごとに必要 |
| 自家用電気工事だけを行う | 通知電気工事業者・みなし通知電気工事業者には設置義務なし |
建設業許可を持つみなし登録電気工事業者にも、主任電気工事士の設置ルールが適用されます(電気工事業法第19条・第34条)。登録・通知・みなし登録・みなし通知の違いと対象設備の対応は、電気工事業の登録と許可の違いで確認してください。
主任電気工事士になれる人
第19条第1項では、次のどちらかに当たる人を主任電気工事士にできるとしています。加えて、法令違反等に関する「欠格事由」(就任できない条件)に当たらないことも必要です。欠格事由は、同法第6条第1項第1号〜第4号に定められています。
- 第一種電気工事士
- 第二種電気工事士の免状を受けた後、電気工事に関して3年以上の実務経験がある第二種電気工事士
会社の代表者(法人の場合は役員のいずれか)が上の条件を満たし、自分が主としてその営業所の業務に従事する場合は、別に主任電気工事士を置かなくてもよいとされています(同条第2項)。
主任電気工事士の役割
| 項目 | 内容 | 条文 |
|---|---|---|
| 職務 | 一般用電気工事による危険や障害が起きないよう、作業の管理を誠実に行う | 第20条第1項 |
| 作業者の義務 | 一般用電気工事の作業者は、主任電気工事士の指示に従う | 第20条第2項 |
| 欠けたとき | 主任電気工事士がいなくなったときなどは、知った日から2週間以内に新しく選任する | 第19条第3項 |
| 登録の要件 | 営業所に主任電気工事士を置けない者は、登録を拒否される | 第6条第1項第6号 |
主任電気工事士は、2つ以上の営業所を兼務できません。営業所ごとの選任状況を確かめてください(埼玉県の更新登録案内)。
主任電気工事士と、ほかの資格・制度との違い
| 名前 | 何のための人・制度か | 根拠 |
|---|---|---|
| 主任電気工事士 | 電気工事業者の営業所で、一般用電気工事の作業を管理する | 電気工事業法 |
| 電気工事士(第一種・第二種) | 電気工事の作業をする人の資格。作業できる範囲は電気工事士の資格の確認へ | 電気工事士法 |
| 電気工事施工管理技士 | 施工管理に関する資格。級ごとの見方は電気工事施工管理技士へ | 建設業法 |
| 電気主任技術者 | 工場・ビルなどの電気設備の保安を監督する。選任・委託は電気主任技術者へ | 電気事業法 |
名前が似ていますが、役割はまったく違います。とくに、建設業許可を持っていても、電気工事業法の手続きと作業者の資格は別に必要です。
依頼先を確かめるときのポイント
電気工事を頼む会社が、制度を守っているかを確かめる方法です。
- 標識を見る: 電気工事業者は、営業所と工事の場所に、氏名・名称や登録番号などを書いた標識を掲げることになっています(第25条)。登録電気工事業者(みなし登録を含む)の標識には、主任電気工事士などの氏名も書くことになっています(電気工事業法施行規則 第12条)。
- 登録番号を聞く: 登録電気工事業者なら登録番号、みなし登録の会社なら建設業許可番号と電気工事業開始の届出の状況を確かめます。
- 担当営業所と選任状況を聞く: 一般用電気工事を行う営業所について、主任電気工事士の氏名、第一種・第二種の別、第二種の場合は免状取得後の実務経験を確認します。
- 作業者の資格を聞く: 主任電気工事士の選任とは別に、実際に作業する人の資格も確認します。設備・作業ごとの範囲は電気工事士の資格の確認を参照してください。
- 再委託先も確かめる: 電気工事業者は、請け負った電気工事を、その工事にかかる電気工事業を営む電気工事業者でない者に請け負わせてはいけません(第22条)。下請けに出す場合は、下請けも登録・通知をしている会社か確かめましょう。
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この記事は主任電気工事士の設置対象・要件・役割と、依頼先での確認を扱います。会社の登録区分や作業資格などの詳しい違いは、次の記事で確認してください。
- 電気工事業の「登録」と建設業の「許可」の違いは 電気工事業の登録と許可の違い で詳しく説明しています。
- 作業者の資格(電気工事士)の確かめ方は 電気工事士の資格の確認 へ。
- 施設の電気設備の保安を監督する人については 電気主任技術者と外部委託 へ。
- 電気工事施工管理技士の1級・2級の見方は 依頼先を選ぶときの電気工事施工管理技士の見方 へ。
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