工場に増えた機械が太い電源ケーブルで分電盤につながり、ヘルメット姿の作業者が配線する場面。
イメージ図(AIで生成)
発注・費用

工場の動力電源の増設|工事の内容と費用の内訳、依頼前の確認表

目次
  1. 動力電源の増設で行う工事
  2. 依頼する前にそろえる情報(確認表)
  3. 工事の流れ
  4. 費用の内訳と、見積もりで確かめる点
  5. 依頼先を選ぶチェックリスト
  6. 関連する記事
  7. 地域の電気工事会社を探す

工場で動力電源を増やすときは、まず機械の仕様と、既存設備の容量の余裕を確認します。動力電源とは、モーターなどを動かす三相200Vなどの電源です。機械の電圧・容量・起動のしかたをまとめ、電気工事会社に渡してください。

工事会社には、分電盤(電気を回路ごとに分ける盤)・幹線(盤まで電気を送る太い配線)・受電設備を調べてもらいます。容量に余裕があれば、分電盤から機械までの回路を増やす工事で済みます。足りなければ、幹線・分電盤・変圧器の増強や、受電方式の変更も検討します。費用は工事の範囲で大きく変わるため、この記事では金額を示さず、費用の内訳と見積もりで確かめる点を説明します(2026年10月時点)。

動力電源の増設で行う工事

工事の大きさは、どこまで手を入れるかで決まります。

段階 工事の内容 必要になる場合
① 回路の増設 動力の分電盤(動力盤)に遮断器を足し、機械まで配線する 盤に空きがあり、幹線・受電の容量に余裕がある
② 分電盤の増設・交換 盤の空きがないので、盤を替える・増やす 盤のスペースや遮断器の容量が足りない
③ 幹線の改修 受電設備から盤までの太い配線を太くする・増やす 盤まで送れる電気の量が足りない
④ 受電設備の増強 変圧器(電圧を変える機器)の増設・交換、キュービクル(高圧受電設備を収めた金属製の箱)の改修 変圧器の容量が足りない
⑤ 受電の方式・契約の変更 契約電力の変更、低圧受電から高圧受電への切り替え 施設全体で使う電気が契約・方式の範囲を超える

低圧受電は、工場側で高圧を低圧に変える受電設備を設けずに電気を受ける方式です。高圧受電は、高圧の電気を受け、工場内の変圧器で使用する電圧に変える方式です。

低圧と高圧の境目: 契約電力50kWは、一般に低圧受電と高圧受電を検討する目安です。ただし、50kW以上でも低圧供給を認める条件があるため、必ず高圧受電になるとは限りません。いま低圧で受電している工場で50kW以上になりそうなときは、小売電気事業者・一般送配電事業者に供給条件を確認し、受電設備の新設も含めて検討します。

③の幹線の改修については、幹線の改修工事とはで詳しく説明しています。④・⑤のキュービクルについては、キュービクルの更新時期と費用の目安をご覧ください。

依頼する前にそろえる情報(確認表)

電気工事会社が容量を確かめるには、機械の情報が必要です。次の表を埋めて渡すと、現地調査や見積もりの前提を共有しやすくなります。

動力増設の依頼前確認表(ひな形)

項目 書くこと
機械の名前・台数 型式、台数
電圧・相(単相・三相の別) 三相200V/三相400V/単相200V など(銘板や仕様書で確認)
定格の容量(仕様上の値) kW(有効電力)またはkVA(皮相電力)、定格電流(A)。銘板・仕様書の値を転記
起動のしかた 仕様書にある起動方式を転記。不明なら、起動時の電流とあわせて機械メーカーに確認
動かす時間帯 ほかの大きな機械と同時に動くか
置く場所 工場内の位置(図面に記入)、今の動力盤からの距離
接続のしかた 機械に直接つなぐか、コンセント(動力用)でつなぐか
受電の方式 低圧か、高圧(キュービクルあり)か
電気料金の明細 契約電力・最大需要電力(一定時間内の平均使用電力の最大値)が分かるもの
電気主任技術者 施設の電気の保安を監督する人。高圧受電の場合、名前と連絡先(外部委託先を含む)
止められる時間 工事で電気を止められる日・時間帯

機械メーカーには、必要な電源容量、推奨するブレーカーや配線の太さ、アース(接地)の条件を確認します。インバーター(モーターの回転速度などを制御する装置)を使う機器では、漏電遮断器の選び方も確認してください。

工事の流れ

  1. 情報をそろえる: 上の確認表を埋める
  2. 現地調査: 電気工事会社が、盤の空き、幹線の太さ、変圧器の容量、今の最大需要電力を確認する。高圧受電の施設では、電気主任技術者にも相談する
  3. 提案と見積もり: どの段階(①〜⑤)の工事が必要か、根拠とともに提案を受ける
  4. 手続き: 契約電力の変更や受電設備の変更が必要なら、電力会社(小売電気事業者・一般送配電事業者)への申込み
  5. 工事: 回路の増設は機械の据え付けに合わせて行う。盤・幹線・受電設備の工事は停電を伴うことが多い
  6. 試験と引き渡し: 絶縁性能などの必要な試験、回転方向の確認、試運転

作業する人: 対象設備と作業範囲に合う資格・施工体制を工事会社に確認します。高圧受電の工場では、電気主任技術者にも確認してください。資格ごとの作業範囲は、電気工事士の資格の確認方法で解説しています。

費用の内訳と、見積もりで確かめる点

費用はどの段階の工事が必要か、配線の距離、停電の時間帯で大きく変わります。条件のそろった公表の相場資料がないため、ここでは金額を示しません。

費用の項目 中身 確かめる点
調査・設計 容量の計算、図面 容量が足りる・足りないの根拠を書面でもらえるか
盤・遮断器 遮断器の追加、盤の増設・交換 将来の増設分の空きを残すか
配線・配管 盤から機械までのケーブル、ケーブルを支えるラック、配管 距離と経路。天井の高さ(高所作業車の要否)
幹線・受電設備 幹線の張り替え、変圧器の増設 必要な場合だけ。根拠を確認
夜間・休日の割増 工場の稼働を止めない時間帯の作業 割増の有無と範囲
試験・申請 測定、試運転の立ち会い、電力会社への申込み 含まれているか

相見積もりのコツ: 確認表を各社に同じように渡し、「どの段階の工事が必要と判断したか」を書いてもらいます。ある会社は①だけ、別の会社は③まで、という違いが出たら、その理由を聞いてください。工事範囲が違う見積もりは、そのままでは金額を比べられません。

依頼先を選ぶチェックリスト

  • 工場の動力設備の工事実績があるか(同じくらいの規模・業種)
  • 容量の確認を、測定や計算の根拠つきで説明してくれるか
  • 高圧受電の工場では、電気主任技術者と調整してくれるか
  • 稼働を止めない段取り(休日・夜間の作業、仮設の電源)を提案してくれるか
  • 機械メーカーの据え付けの日程と合わせられるか
  • 工事規模に応じた建設業許可(電気工事業)と、対象設備に応じた電気工事業の登録・通知(みなし登録・みなし通知を含む)を別々に確認したか
  • 工事のあと、竣工図(完成した設備の図面)を更新して渡してくれるか

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この記事は、機械の増設に伴う電源容量の確認と発注準備を扱います。幹線の改修方法、受変電設備の更新・停電計画は、各記事をご覧ください。

地域の電気工事会社を探す

動力電源の増設を相談できる会社は、地域の電気工事会社の一覧から探せます。一覧から会社ページを開くと、建設業許可の業種や有効期限などの公表情報を確認できます。工場の動力工事の実績は、各社に直接たずねてください。

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出典・参考

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