応援に来る作業者と、図面を囲んで工事を請けるチームを左右に対比したイラスト
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常用(人工出し)と請負の違い|応援を頼むときの派遣禁止と注意点

目次
  1. 「常用」「人工出し」と「請負」の違い
  2. 法律が禁止していること
  3. 請負と判断されるための基準(37号告示)
  4. 応援を頼むときの確認表
  5. 人手を融通しあう、法律で認められた仕組み
  6. 関連する記事
  7. 地域の会社を探す

「常用」は人数・日数などによる代金の計算方法を指す現場の呼び方で、「請負」は工事の完成を約束する契約の形です。呼び方だけで適法かどうかは決まりません。 応援を頼むときは、誰が作業員に指示し、労働時間を管理するのかを確認します。

建設業務(現場での建設の作業)に労働者を派遣することは、労働者派遣法で禁止されています(第4条第1項第2号)。また、他社に雇われている作業員を、契約にもとづいて自社の指揮命令のもとで働かせることは、職業安定法が禁止する「労働者供給」にあたるおそれがあります(第44条)。「常用」「人工出し(にんくだし)」と呼ばれる応援の頼み方が問題になるのはこのためです。

そして、請負か、派遣・労働者供給かは、契約書の名前ではなく実態で判断されます。協力会社に応援を頼むときは、「仕事(工事の完成)を頼む」形にし、作業員への指示や労働時間の管理は協力会社自身が行う、という形を守る必要があります(2026年10月時点の法令・告示にもとづく)。

「常用」「人工出し」と「請負」の違い

現場では、言葉の意味が会社によって少しずつ違います。この記事では、次の意味で使います。

呼び方 よくある使われ方 法律上の見方
請負 工事(の一部)の完成を約束し、その結果に対して代金を払う 建設業法の「建設工事の請負」。協力会社が自社の作業員に指示し、仕事を自分の責任で処理する
常用(じょうよう) 作業員の人数×日数(人工)で代金を計算して応援を頼む 呼び方では決まらない。実態として協力会社が作業員を指揮・管理していれば請負と見られうるが、頼んだ側が直接指揮命令していれば派遣・労働者供給にあたるおそれ
人工出し 作業員だけを送り、受け入れた側の指示で働いてもらう 頼んだ側が指揮命令する形なので、建設業務の労働者派遣(禁止)や労働者供給(禁止)にあたるおそれが高い

法律が禁止していること

1. 建設業務への労働者派遣の禁止(労働者派遣法)

労働者派遣とは、「自己の雇用する労働者を、当該雇用関係の下に、かつ、他人の指揮命令を受けて、当該他人のために労働に従事させること」です(労働者派遣法第2条第1号)。同法第4条第1項は、建設業務(土木・建築その他工作物の建設、改造、保存、修理、変更、破壊・解体の作業、またはその準備の作業に係る業務)について、労働者派遣事業を行ってはならないと定めています。

ここで大事なのは、派遣の許可を持つ会社であっても、建設業務には派遣できないという点です。

2. 労働者供給の禁止(職業安定法)

労働者供給とは、「供給契約に基づいて労働者を他人の指揮命令を受けて労働に従事させること」(労働者派遣にあたるものを除く)です(職業安定法第4条)。同法第44条は、許可を受けた労働組合などが無料で行う場合(第45条)を除き、労働者供給事業を行うことも、供給された労働者を自らの指揮命令の下に働かせることも禁止しています。つまり、受け入れた側(応援を頼んだ元請け)も規制の対象です。

3. 再下請けに出す場合の確認

請負の形でも、施工に実質的に関与せず、請け負った工事の全部・主たる部分などを一括して他社に任せる「一括下請負」には別の規制があります。判断では、施工計画・工程管理・品質管理・安全管理・技術的指導などへの実質的な関与を確認します。

公共工事では一括下請負は全面的に禁止されています。一部の民間工事には、発注者の事前の書面による承諾で適用除外となる場合があります。詳しい判断基準・例外は、国交省の「一括下請負の禁止について」で確認してください。契約・施工範囲の取り決めは、協力会社とのトラブルを防ぐための取り決めも参照できます。

請負と判断されるための基準(37号告示)

厚生労働省の「労働者派遣事業と請負により行われる事業との区分に関する基準」(昭和61年労働省告示第37号。以下「37号告示」)は、請負の形の契約でも、次のすべてに当てはまらなければ労働者派遣事業になるとしています。

A. 協力会社が、自社の作業員への指示・管理を行っている

  • 作業の進め方の指示や、作業の評価を、自ら行う
  • 始業・終業の時刻、休憩、休日、休暇、残業・休日出勤の指示や管理を、自ら行う(単に把握するだけでは足りない)
  • 社内の服務ルールに関する指示や管理、作業員の配置の決定・変更を、自ら行う

B. 協力会社が、請け負った仕事を注文者から独立して処理している

  • 仕事に必要な資金を、自らの責任で調達し、支払う
  • 民法・商法などに定められた事業主としての責任を、すべて負う
  • 単に肉体的な労働力を提供するのではなく、自ら用意した機械・器材(簡易な工具を除く)や材料で処理するか、自らの企画や専門的な技術・経験にもとづいて処理する

さらに、これらの形を整えていても、法律の規定を免れるために故意に偽装したもので、真の目的が労働者派遣にあるときは、労働者派遣事業とされます(第3条)。厚生労働省は、判断は契約の形式ではなく実態によるとし、疑義応答集を公表しています。疑義応答集にない事例は、都道府県労働局が実態に即して個別に判断します。

応援を頼むときの確認表

協力会社に応援を頼む前に、次の点を確認します。点数で適法性を判断する表ではありません。一つでも懸念があれば、実際の指示・管理の方法を見直してください。

# 確認すること はい / いいえ
1 頼む内容が「人数」ではなく「工事の範囲(どこまで仕上げるか)」で決まっている
2 協力会社の側に、現場で作業員に指示を出す責任者(職長など)がいる
3 元請けの担当者は、作業員一人ひとりではなく、協力会社の責任者に指示・連絡している
4 作業員の始業・終業、休憩、残業の指示を、協力会社が行っている
5 作業員の配置や入れ替えを、協力会社が決めている
6 工具以外の機械・器材や材料を、協力会社が自ら用意している、または協力会社の専門の技術で仕事を処理している
7 不具合があったときの手直しなど、仕事の結果に協力会社が責任を負う契約・実態になっている
8 注文書・請書(または契約書)で、工事の内容・代金・工期などを書面で取り交わしている(建設業法第19条)
9 協力会社が、請け負った工事の施工計画・工程管理・品質管理などに実質的に関与している
10 協力会社が、その工事の業種の建設業許可を持っている(軽微な建設工事を除く)

確認表の6は、37号告示が定める次のいずれかの条件に対応します。

  • 自らの責任と負担で調達した機械・設備・器材、または材料・資材を使って仕事を処理すること。簡易な工具だけでは足りません。
  • 自らの企画、または自らが持つ専門的な技術・経験に基づいて仕事を処理すること。

この項目だけで判断せず、作業員への指示や労働時間の管理など、ほかの要件もあわせて確認してください。

確認表の10の許可要否と請負代金の数え方は、建設業許可が不要な「軽微な建設工事」の基準をご覧ください。

なお、災害時の安全確保や、労働安全衛生法第29条に基づく必要な指導・指示を元請けが直接行ったことだけで、直ちに労働者派遣と判断されるわけではありません。安全上必要な指示と、日々の作業方法・配置・労働時間を管理する指揮命令を区別します。

人手を融通しあう、法律で認められた仕組み

建設業では、仕事が忙しい時期と少ない時期の差を埋めるために、法律で認められた仕組みがあります。厚生労働省によると、建設業務労働者就業機会確保事業は、「建設労働者の雇用の改善等に関する法律」にもとづく仕組みです。

  • 事業主団体が実施計画をつくり、厚生労働大臣の認定を受ける
  • 認定を受けた団体の構成事業主が、厚生労働大臣の許可を受ける
  • 常時雇用している労働者を、雇用関係を保ったまま、同じ団体の他の構成事業主のもとで一時的に建設業務に従事させる

対象は、常時雇用され、社会保険・労働保険の適用を受けている、現場で直接建設業務に従事する労働者です。「常時雇用」には、無期雇用だけでなく、有期契約の更新により無期雇用と同等と認められる場合も含まれます。施工管理・営業・事務などの職種は、この仕組みの建設業務労働者には含まれません。詳しい要件は、厚生労働省のページと都道府県労働局で確認してください。

迷ったときは

  • 個別の取引が請負にあたるかどうかは、都道府県労働局(需給調整事業の担当)に相談できます。
  • 契約書の作り方は、顧問の弁護士・社会保険労務士などの専門家に確認してください。
  • 当サイトは、事業者どうしの工事の受発注に役立つ情報を載せています。人の手配やあっせんは行っていません。

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この記事は、応援を頼むときの契約と実際の指示・管理の区別を扱います。協力会社の評価や取引書類、支払い条件は、次の記事で確認してください。

地域の会社を探す

工事の一部を任せられる協力会社を増やしたいときは、地域の建設会社の一覧から候補を探し、会社ページで許可業種・有効期限を確認してください。任せる施工範囲と指揮命令・労務管理の体制は、各社と直接協議します。

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