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2024年問題と協力会社|時間外労働の上限を踏まえた工期と段取りの改善

目次
  1. 時間外労働の上限を工程の前提にします
  2. 電気・管工事で残業を生みやすい条件を洗い出します
  3. 着工前の打ち合わせは作業条件から始めます
  4. 遅れが出たら変更の協議を記録します
  5. 元請けの工程会議で使う確認表
  6. 出典
  7. 関連する記事
  8. 地域の協力会社候補を探す

建設業の2024年問題を踏まえて元請けができることは、残業で遅れを取り戻す前提をやめ、協力会社が施工できる日数と作業条件から工程を組むことです。電気工事・管工事は、前工程の遅れや、停電・断水できる時間の制約を受けます。施工日だけでなく、準備、試験、手直しまで含めて協議する必要があります。

建設業には2024年4月から時間外労働の上限規制が適用されています。この記事は2026年10月時点の情報で、元請けと協力会社の工程調整に絞って説明します。

時間外労働の上限を工程の前提にします

時間外労働とは、原則として法定労働時間である1日8時間・週40時間を超える労働です。これを行わせるには、使用者が、過半数労働組合または労働者の過半数を代表する者と36協定(時間外・休日労働についての労使の協定)を結び、労働基準監督署へ届け出る必要があります。

厚生労働省の解説では、上限を次のように整理しています。

区分 上限
原則の時間外労働 月45時間・年360時間
臨時的な特別の事情があり、特別条項を設けた場合 時間外労働は年720時間以内
特別条項の有無にかかわらず守る単月の上限 時間外労働と休日労働の合計が月100時間未満
特別条項の有無にかかわらず守る複数月の上限 時間外労働と休日労働の合計が2〜6か月平均で80時間以内
月45時間を超えられる回数 年6か月まで

ここでいう休日労働は、労働基準法上の法定休日に働くことです。年720時間の枠には法定休日労働を含めませんが、単月・複数月の合計には含めます。

1年単位の変形労働時間制で対象期間が3か月を超える場合、原則の限度時間は月42時間・年320時間です。この場合、限度時間を超えられる月も年6か月までです。変形労働時間制では時間外労働の算定方法も異なるため、協力会社の勤務制度と36協定の内容を踏まえて工程を協議します。

特別条項は、毎月の工程を残業で埋めるための枠ではありません。災害時の復旧・復興の事業では、上の単月100時間未満・複数月平均80時間以内の規制は適用されませんが、通常の設備改修にこの特例を当てはめることはできません。

労働時間の管理は各雇用主が行います。元請けは、自分の現場だけで上限まで働けると考えず、協力会社に他現場も含めた稼働予定を踏まえて回答してもらいます。現場を移っても、同じ雇用主の下で働く人の負担が消えるわけではありません。

工期そのものにも、建設業法のルールがあります。通常必要と認められる期間に比べて著しく短い工期での請負契約は、注文者に禁止されています。2025年12月に施行された改正で、受注者側にも同じ禁止が加わりました(建設業法第19条の5)。改正の内容は建設業法の改正のポイントで扱います。

電気・管工事で残業を生みやすい条件を洗い出します

工程表の「電気工事」「設備工事」という長い帯だけでは、いつ作業が集中するかわかりません。協力会社の職長と、場所・作業・前提条件を分けて確認します。

作業が集中する原因 元請けが先に確認すること
天井内で複数業種が重なる 配管・配線の順序、作業区画、天井を閉じる日
図面や機器仕様の確定が遅れる 承認者、回答期限、未確定箇所の施工可否
停電・断水が夜間だけになる 切替範囲、事前施工できる部分、復旧試験の時間
機器の納品が直前になる 製作・搬入予定、保管場所、納入遅延時の対応
検査前に手直しが集中する 中間確認の時期、試験範囲、立会者
前工程が遅れる 設備工事の開始条件と、遅延時に見直す日程

例えば、配線を終えた日と設備が使用できる日は同じとは限りません。結線、試験、設定、関係者立会いが残る場合は、それぞれに必要な時間を聞き取ります。給排水工事でも、接続後の試験や復旧確認を工程に含めます。

着工前の打ち合わせは作業条件から始めます

「何人出せますか」より先に、完成させる範囲と施工できる条件を伝えます。協力会社が、自社の体制と必要日数を検討できる資料を渡しましょう。

  1. 施工範囲を確定します:区画、系統、機器、試験、撤去と復旧の範囲をそろえます。
  2. 作業可能な時間を共有します:施設の営業時間、騒音制限、搬入時間、休工日を伝えます。
  3. 前工程の完了条件を決めます:足場、開口、基礎、電源、搬入経路などを確認します。
  4. 協力会社から必要日数を出してもらいます:日中の施工と夜間の切替を分けて相談します。
  5. 発注者・他業種と調整します:設備工事だけで吸収できない制約を、全体工程へ反映します。

現場にいる時間のすべてを施工に使えるとは限りません。入退場手続き、資材運搬、朝礼、待機、片付けも確認し、実作業の時間だけを見て工程を詰めないようにします。

遅れが出たら変更の協議を記録します

遅延がわかった時点で、原因、影響する範囲、選べる対応を整理します。応援や休日出勤を決める前に、施工順序の変更、区画の分割、工場での事前加工、停電日の変更などが可能かを話し合います。

記録する項目 記入する内容
原因と発生日 図面変更、納入遅延、前工程未完了など
当初の前提 施工開始日、作業時間、他業種の完了条件
影響 完了見込み、試験日、引渡しへの影響
代替案 順序変更、施工範囲の分割、工期延長など
費用 追加の手配や再訪問に必要な項目
決定事項 合意した工程、費用の扱い、担当者、決定日

追加費用の一律の相場は示せません。夜間・休日の作業、再搬入、追加の仮設など、変更で何が増えるのかを見積もりで確認します。協力会社に無償での吸収を求める前に、契約上の条件と変更理由を整理してください。

元請けの工程会議で使う確認表

会議では、進捗率だけでなく「次の作業に入れる条件」を確認します。未解決項目に担当者と回答日を付ければ、直前の判断待ちを減らせます。

  • 協力会社が見込む施工日数を、全体工程に反映しましたか。
  • 夜間作業の前後を含めて、無理のない体制を相談しましたか。
  • 図面承認・機器手配・発注者判断の期限は決まっていますか。
  • 停電・断水の復旧確認と、失敗した場合の戻し方まで検討しましたか。
  • 前工程の遅れを把握し、開始日を再協議しましたか。
  • 試験・立会い・手直し・完成書類の時間を確保しましたか。

元請けの現場担当者が工程の変更を合意できない場合は、購買担当や発注者の決裁者につなぎます。現場のお願いだけで工期や金額を曖昧にしないことが、協力会社の受注判断にも役立ちます。

出典

上限規制は厚生労働省の事業者向け解説、発注者との調整は発注者向けの協力事項に加え、葛城労働基準監督署の解説と変形労働時間制の資料、工期の規定は国土交通省の改正法の案内と改正建設業法の説明会資料を参照しています。工程の確認表は、電気・管工事の発注準備に使う整理例です。

関連する記事

協力会社の不足への対応全般は協力会社が見つからないときの対策、工程表の作り方は工事の工程と段取りの計画で扱います。単価の協議は協力会社との単価の話し合い方を参照してください。

地域の協力会社候補を探す

地域の会社の一覧から候補を探し、今回の施工範囲、作業時間、必要日数を伝えて各社へ相談してください。受注可否と稼働できる時期は直接確認しましょう。

出典・参考

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