大きな開閉器のレバーが見える電気盤の横で、ヘルメットの技術者がチェックリストに記入しているイラスト。
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電気設備の年次点検とは|停電を伴う点検の流れと、施設側の準備

目次
  1. 年次点検と月次点検の違い
  2. 年次点検で確かめること
  3. 停電点検を3年に1回にできる条件
  4. 年次点検の当日の流れ(例)
  5. 施設側の準備チェックリスト
  6. 関連する記事
  7. 工事を頼む会社を探す

電気設備の年次点検は、キュービクル(高圧受電設備)などを総合的に確認する点検です。保安管理を外部委託する需要設備(施設内で電気を使うための設備)では、原則1年に1回以上、停電させて行います。絶縁抵抗(電気の漏れにくさ)・接地抵抗(アースへ電流を流す際の抵抗)の測定や、保護継電器(事故を検知して遮断器に動作指令を出す装置)の動作試験などを行います。点検の間は施設全体、または一部が停電するため、日程の調整と、停電で止まる設備への備えが施設側の主な仕事です。

条件を満たした設備では、停電する点検を3年に1回にし、残りの年は停電させずに点検する方法も認められています。この記事では、2026年10月時点の確認事項として、国が公表する点検制度の説明を参考に、点検の内容と準備を説明します。

年次点検と月次点検の違い

ここでは、主に保安管理を外部委託している高圧受電設備の点検を扱います。自社の社員を主任技術者に選任する場合などは、選任形態と保安規程の定めを確認してください。保安体制の選び方は、電気主任技術者と外部委託で説明しています。

点検 頻度 停電 主な内容
月次点検 設備容量・絶縁監視装置の有無などで異なる(毎月・隔月・3か月ごとなど) しない 運転中の外観の点検、電圧・電流・漏れ電流の測定など
年次点検 原則1年に1回以上 する(条件により停電点検を3年に1回以上とし、間の年は無停電で行う) 絶縁抵抗・接地抵抗の測定、保護継電器の試験、非常用発電機・蓄電池の確認など

点検の頻度と内容は、施設ごとの保安規程(電気事業法 第42条で届出が必要な、保安のルール)に書かれています。外部委託している施設では、委託契約書にも書かれています(電気事業法施行規則 第53条)。まず、自分の施設の保安規程と契約書を確かめましょう。

年次点検で確かめること

年次点検では、保安規程や委託契約に沿って、次のような項目を確認します。国土交通省の建築保全業務共通仕様書も点検項目の参考になりますが、官庁施設の保全のための仕様であり、すべての施設に同じ試験を義務づけるものではありません。設備の有無や方式によって必要な試験は変わります。

項目 何を見るか
絶縁抵抗 低圧の電路の絶縁抵抗が基準の値以上か。高圧の電路が大地や他の電路と絶縁されているか
接地抵抗 アース(接地)の抵抗が基準の値以下か
保護継電器の試験 保護継電器が正しく動き、遮断器と連動して電気を止められるか
非常用発電機 停電のときに自動で起動し、電気が戻ったら止まるか。電圧・周波数は正常か
蓄電池設備 セル(蓄電池を構成する単位)の電圧、電解液の比重、温度などは正常か

このほか、機器の清掃や、締め付けの確認などを合わせて行うことが一般的です。何を行うかは、委託先や点検の会社に事前に確認してください。

停電点検を3年に1回にできる条件

外部委託の年次点検は1年に1回以上が原則です。ただし、信頼性が高い機器で、停電点検と同じ程度の点検が毎年行われている場合は、停電させて行う点検を3年に1回以上とすることができます。3年のうち1年は停電点検、残りの2年は停電させない点検(無停電年次点検)で行う形です。

適用には、機器の信頼性と、停電点検に代わる点検方法の両方を確認します。経産省の主任技術者制度に関するQ&A(令和3年4月版、関連資料30〜33ページ)では、設計・製作・施工、設備構成、設置環境、維持管理実績、保安管理体制の観点から信頼性を判断する考え方が示されています。施設側は次の資料を用意し、委託先に適用根拠を説明してもらいましょう。

  • 設備図面と機器台帳:設備構成、製造年、更新推奨時期などを確認する
  • 過去の停電・無停電年次点検と月次点検の報告書:不良の有無と修理状況を確認する
  • 設置環境と点検方法の資料:腐食・塩害などへの対策や、無停電で確認できる範囲を確認する
  • 保安規程と委託契約書:年次点検の頻度・内容と実施体制を確認する

この資料は過去の版であり、2026年10月時点の最新版との照合は未了です。個別設備に適用する前に、保安規程・契約の変更も含め、委託先と所轄の産業保安監督部へ現行条件を確認してください。停電の回数を減らす場合でも、年次点検そのものを3年に1回へ減らせるわけではありません。

年次点検の当日の流れ(例)

  1. 停電の前: 点検の担当者が到着し、手順と停電の範囲を確認します。施設側は、停電で止まる機器を止めておきます。
  2. 停電の操作: 主遮断装置などを開いて停電させ、作業の安全を確保します。
  3. 点検・測定: 絶縁抵抗・接地抵抗の測定、保護継電器の試験、清掃などを行います。
  4. 復電: 異常がないことを確かめてから、電気を戻します。
  5. 復電の後: 施設側で、止めた機器が正しく動き出したかを確かめます。
  6. 報告: 後日、点検の結果が報告書で届きます。不良や更新の推奨があれば、ここに書かれます。

停電の時間は、設備の規模や点検の内容で変わります。事前に、委託先に目安を聞いておきましょう。

施設側の準備チェックリスト

日程を決めるとき

  • 停電の日時と、停電する範囲(全館か、一部か)を委託先と確認した
  • 社内・テナント・入居者に、停電の日時を知らせた
  • 停電中も止められない業務がないか確かめ、日程を調整した

停電で止まる設備の確認

  • パソコン・サーバー・ネットワーク機器を、停電の前に正しく終了する段取りを決めた
  • エレベーター、自動ドア、給水ポンプ、空調の止め方と、復電後の確認の担当を決めた
  • 冷凍・冷蔵の設備がある場合、中身の扱いを決めた
  • 防災設備や警備システムが、停電中にどう動くかを、それぞれの管理会社に確かめた
  • 停電中に仮の電源(発電機)が必要な機器がないか確かめた

点検の後

  • 止めた設備が、すべて正常に動き出したか確かめた
  • 報告書を受け取り、指摘事項ごとに対応の担当者・期限・再確認の方法を決めた
  • 更新や修理の指摘があれば、時期と予算の検討を始めた

点検結果を対応につなげる記録表

報告書を受け取ったら、指摘を次の形で管理します。施設側の担当者だけで緊急度を判断せず、保安の委託先に確認してください。

指摘の対象・内容 委託先に確認する優先度 対応の担当者 対応期限 完了を確認する資料
[報告書から転記] [継続使用の可否・対応順を確認] [記入] [協議して記入] [修理報告書・再測定結果など]

点検で更新を指摘されたら

年次点検の報告書で「劣化している」「更新を推奨する」と書かれたら、工事の検討に進みます。保安の委託先と修理・更新の優先順位を確認し、工事は電気工事会社に相談します。両者の役割は電気主任技術者と工事会社の違いで説明しています。工事でも停電が必要になる場合があります。年次点検の停電に合わせて工事ができるか、委託先・工事会社に相談してください。

関連する記事

この記事は年次点検の内容・頻度と、点検に伴う停電への準備を扱います。保安の委託制度、更新費用、工事に伴う停電計画は、次の記事で確認してください。

工事を頼む会社を探す

点検で修理や更新が必要とわかったら、地域の電気工事会社に相談しましょう。会社をさがす から地域を選び、許可の業種や有効期限を確かめてください。受変電設備の修理・更新実績と保安の委託先との連携は、候補の会社に直接確認し、点検報告書を共有して相談します。

出典・参考

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