見積書を虫眼鏡で拡大すると項目が積み木のように分解されて見え、横に分電盤がある。
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発注・費用

電気工事の見積書の見方|「一式」「諸経費」「労務費」の中身と確認すること

目次
  1. 見積書の全体の形
  2. 直接工事費の項目
  3. 「一式」の中身
  4. 諸経費の中身
  5. 確認するときの文例
  6. 関連する記事
  7. 見積もりを頼む電気工事会社を探す

電気工事の見積書は、大きく**「直接工事費」(材料費と、取り付ける人の労務費)と、「諸経費」(仮設の費用、現場を管理する費用、会社を運営する費用と利益)**に分かれます。「一式」と書かれた項目は、含まれる作業・数量・対象外の範囲を確認します。「諸経費」は割合で計上されることが多いため、金額の大小より、何が含まれていて、何が別に請求されるのかを確認することが大切です。

建設業法では、2025年12月12日の改正法の完全施行により、建設業者は材料費・労務費と、法定福利費などの「適正な施工に不可欠な経費」の内訳を記載した見積書を作るよう努めることになりました(第20条第1項。2026年10月時点)。また、注文者が請求した場合は、建設業者は契約成立までにその見積書(材料費等記載見積書)を交付する義務があります(第20条第4項)。

この記事では、受け取った見積書の項目の意味を解説します。複数の見積もりの比べ方は「電気工事の見積もりの取り方と比べ方」で扱います。

見積書の全体の形

見積書の形は会社によって違いますが、国の公共建築工事の積算基準(国土交通省「公共建築工事共通費積算基準」)では、工事費を次のように組み立てます。民間の見積書を読むときも、費用を整理する参考になります。

階層 中身
直接工事費 工事の目的物を作るための費用(材料・機器、取り付けの手間など)
+ 共通仮設費 工事全体で共通に使う仮設の費用(現場事務所、仮設の電気、養生、片付けなど)
= 純工事費
+ 現場管理費 現場を管理・運営する費用(現場の社員の給料、法定福利費、保険料、施工図の作成など)
= 工事原価
+ 一般管理費等 会社を続けていくための費用(本社の経費)と利益
= 工事価格
+ 消費税等

民間の見積書では、共通仮設費・現場管理費・一般管理費等をまとめて「諸経費」「現場経費」と1行で書くこともよくあります。

直接工事費の項目

電気工事の見積書では、直接工事費が工事の種類ごと(工種ごと)に分かれて書かれます。

よく見る項目 中身 確認すること
幹線設備・動力設備・電灯コンセント設備・照明器具など 幹線は建物内で電気を配る主要な配線、動力は機械などへの電源です。工事の種類ごとにまとめて記載されます 依頼した範囲がすべて入っているか
機器・器具費 分電盤、照明器具、変圧器などの機器 メーカー・型番。「同等品」の場合は何を想定しているか
材料費(ケーブル・配管など) 電線、ケーブル、電線管、ボックス、支持金物 数量の単位(m、本、個)と根拠
労務費・取付費・施工費 取り付け・配線をする人の手間 材料費に含めた「材工共(ざいこうとも)」か、分けているか
撤去費・処分費 既存設備の撤去と、産業廃棄物の処分 含まれているか。運搬費は別か
試験・調整費 絶縁抵抗の測定(漏電しにくい状態かを確かめる検査)、動作の確認など 含まれているか
夜間・休日の割増 営業時間外の作業の割増 依頼した作業時間と合っているか

「材工共」と「材工別」

  • 材工共(材工一式): 材料費と取り付けの手間を合わせて、1つの単価で書く方法。項目が少なく見やすい一方、労務費がいくらか分かりません。
  • 材工別: 材料費と労務費を分けて書く方法。工事内容の変更や、ほかの見積もりとの比較がしやすくなります。

改正建設業法の考え方では、労務費を見える形にすることが重視されています。国土交通省は、労務費・材料費・法定福利費(事業主負担分)などを分けて書く見積書の様式例を示しています。建設業退職金共済制度(建設現場で働く人の退職金のための制度)の掛金や、安全衛生経費(事故や健康被害を防ぐための費用)も記載する形です。

「一式」の中身

「一式」は、数量で数えにくいものや、細かな部材をまとめたときに使う書き方です。それ自体は珍しくありませんが、次の場合は中身を確かめましょう。

  • 金額が大きい「一式」: 何が含まれるかを、内訳か注記で出してもらう
  • 「雑材料一式」「消耗品一式」: 小さな部材や消耗品。直接工事費に対する割合で計上されることがある
  • 「〇〇工事一式」: 工事の範囲そのものが「一式」になっていると、どこまでやるのかが分からない。範囲の外のことも確認する

諸経費の中身

国の積算基準では、それぞれ次のような費用が含まれます(抜粋)。

区分 主な中身
共通仮設費 準備費、現場事務所・倉庫などの仮設建物、仮囲い、安全標識・交通誘導などの環境安全費、工事用の電気・水道料金、屋外・敷地周辺の跡片付けとそれに伴う発生材・端材等の処分、共通の機械器具
現場管理費 労務管理費、印紙代などの租税公課、工事保険などの保険料、現場の社員の給料、施工図の作成費、法定福利費、建設業退職金共済の掛金、通信交通費、近隣への補償費
一般管理費等 本社の運営の費用(役員・社員の給料、事務所の費用など)と、利益

既存設備の撤去・処分費まで、共通仮設費に含まれるとは限りません。直接工事費の撤去費・処分費とあわせて、計上する項目と重複の有無を確認します。

民間の見積書の「諸経費」が、この全部を含むとは限りません。たとえば、交通誘導員、駐車場代、高所作業車のリース代などが、別の行に書かれている場合もあります。「諸経費に何が含まれ、何が含まれないか」を聞いておくと、追加費用が生じる条件を確認できます。

法定福利費

法定福利費は、健康保険・厚生年金・雇用保険などの保険料のうち、会社(事業主)が負担する分です。建設業法施行規則では、「適正な施工を確保するために不可欠な経費」として、法定福利費、安全衛生経費、建設業退職金共済の掛金が挙げられています。別の行に記載された法定福利費などを、根拠なく一律に削るのは避けます。算定の前提を確かめ、必要な額を確保してください。

金額の根拠が分からないとき

まず、数量・単価・作業条件と、別途費用の有無を確認します。労務費や法定福利費などは、算定の前提を説明してもらい、必要な費用を確保します。

複数社の見積もりの比較や、値引きを相談するときの注意点は、電気工事の見積もりの取り方と比べ方で扱います。

確認するときの文例

見積書の中身を確認するときは、次のような文面で問い合わせると、相手も答えやすくなります。

件名: 〇〇工事のお見積書について(ご確認のお願い)

〇〇株式会社 〇〇様

お見積書をお送りいただき、ありがとうございます。
社内で検討するにあたり、次の点を教えていただけますでしょうか。

1. 「〇〇工事一式」に含まれる作業の範囲
2. 諸経費に含まれる費用と、別途となる費用(交通誘導、駐車場、高所作業車など)
3. 既存設備の撤去・処分費が含まれているか
4. 照明器具の型番と、同等品を想定している場合はその候補
5. 作業時間(夜間・休日)の前提

〇月〇日までにご回答いただけますと幸いです。
よろしくお願いいたします。

見積書を受け取ったときのチェックリスト

  • 依頼した工事の範囲が、すべて項目に入っている
  • 範囲に含まないものが、注記で分かる
  • 機器・器具の型番(または同等品の考え方)が分かる
  • 金額の大きい「一式」の中身が分かる
  • 撤去・処分・運搬の費用の扱いが分かる
  • 諸経費に含まれるもの、別途のものが分かる
  • 夜間・休日、停電作業などの前提が、依頼の条件と合っている
  • 税込み・税抜きの別と、見積もりの有効期限が書いてある
  • 工程ごとの作業日数の目安が書いてある

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