漏電とは、電気が本来の回路から外へ漏れることです。漏電を検知して電気を止める装置が、漏電ブレーカー(漏電遮断器)です。事業所でこのブレーカーが落ちたら、まずどの回路で落ちているかを記録し、電気の保安の窓口に連絡します。高圧で電気を受けている施設なら、窓口は電気主任技術者(施設の電気の保安を監督する人。外部委託先を含む)です。低圧で電気を受けている店舗・小さな事務所なら、電気工事会社に調査を頼みます。漏電の調査は、回路を一つずつ切り分けて場所を絞り込み、絶縁抵抗(電気が漏れにくいかどうかを表す値)を測って確かめるのが基本です。原因が分かれば、電気工事士法の対象となる配線や機器の修理・交換は、作業範囲に合った資格者が行います。
制度・基準の説明は2026年10月時点です。
キュービクルは、高圧で受けた電気を低圧に変える機器などを金属製の箱に収めた設備です。施設にあるかどうかは、相談先を判断する手がかりになります。
誰に頼むか(受電の方式で変わる)
| 受電の方式 | 主な窓口 | 説明 |
|---|---|---|
| 高圧受電(キュービクルがある工場・ビル・大きな店舗) | 電気主任技術者(外部委託の場合は委託先) | 自家用電気工作物(高圧で受電する設備など)の保安は、電気主任技術者が監督します。調査の結果、配線や機器の工事が必要なら、電気工事会社に依頼します |
| 低圧受電(小さな店舗・事務所) | 電気工事会社 | 日常の不具合の調査を相談します。定期調査を待たずに連絡してください |
| テナント | ビルの管理会社 → 指定の業者 | ビルの電気設備と専用部の区分によって、頼める業者が決まっていることがあります |
調査後に修理が必要になる場合もあるため、修理まで頼めるかを確認します。対象設備・作業範囲ごとの資格は電気工事士の資格の確認方法、会社の手続きは電気工事業の登録と許可の違いで扱います。
漏電ブレーカーが落ちるときに考えられる原因
| よくある原因 | 起きやすい場所・時期 |
|---|---|
| 機器の内部の絶縁の劣化 | 古いモーター・ヒーター・溶接機・冷蔵設備・空調の室外機 |
| 水や湿気 | 雨の日だけ落ちる。屋外のコンセント・照明、厨房、洗い場、結露する場所 |
| 配線の被覆の傷み | 古い建物、ネズミのかじり、機械の振動で擦れる配線 |
| ほこり・油・金属粉 | 工場の制御盤・コンセント(トラッキング=ほこりと湿気による発火の原因にも) |
| 増設した機器・配線の不具合 | 最近、機器を入れた・配線を変えた回路 |
なお、ブレーカーが落ちる理由は漏電だけではありません。配線用遮断器は、過負荷(電気の使いすぎ)や短絡(ショート)でも動作します。漏電遮断器にも過電流保護機能(流れすぎた電流を遮断する機能)付きのものがあり、漏電以外で落ちる場合があります。契約容量を超えた際の遮断方法も、設備や契約によって異なります。どのブレーカーが、何という表示で落ちたかで、原因の見当が変わります。漏電遮断器には、漏電で落ちたことを示すボタン(表示)が付いているものが多くあります。
業者に頼む前に、施設側で記録しておくこと
施設側の記録は、調査条件を絞る手がかりになります。安全に確認できる範囲で次の表を埋め、業者に伝えてください。不明な欄は空欄でも構いません。記録をそろえるために、連絡を遅らせる必要はありません。
漏電の記録シート(ひな形)
| 項目 | 記入例の書き方 |
|---|---|
| 落ちたブレーカー | 分電盤(回路ごとに電気を分ける盤)の名前と、回路の番号・名前 |
| 落ちた日時・頻度 | 「〇月〇日の朝」「週に2回」など |
| 天気・状況 | 雨の日か。清掃・水洗いのあとか |
| そのとき動いていた機器 | 機械を起動したときか、夜間で止まっているときか |
| 最近の変更 | 機器の増設・移設、配線工事、内装工事 |
| 受電の方式 | 高圧(キュービクルあり)か、低圧か |
| 電気主任技術者・保安の委託先 | 名前と連絡先(高圧の場合) |
| 前回の点検の記録 | 年次点検・月次点検の報告書の有無 |
やってはいけないこと: 落ちた漏電ブレーカーを何度も入れ直す、テープなどで動かないようにする、漏電遮断器を普通のブレーカーに替える。漏電を放置すると、感電や火災のおそれがあります。
調査の流れ(業者が行うこと)
- 聞き取り: 記録シートの内容をもとに、落ちる条件を確認します。
- 回路の切り分け: 分電盤の回路を一つずつ切り、どの回路で漏電しているかを絞り込みます。
- 漏れ電流の測定: 電線を切り離さずに挟んで測るクランプ式の漏れ電流計で、電気を止めずに漏れている電流を測ることもあります。止められない工場や店舗では、この方法で場所の見当をつけます。
- 絶縁抵抗の測定: 電気を止めて、絶縁抵抗計(メガー)で回路や機器を測ります。
- 原因の特定と報告: 配線か機器か、どこが悪いかを報告し、修理・交換の方法と見積もりを出します。
- 修理と再測定: 修理のあと、もう一度測定して問題がないことを確かめます。
調査後は、測定した回路・機器、測定値、判定、特定できた原因、修理の要否を報告書でもらいます。原因が再現せず特定できなかった場合は、次に記録する条件と再調査の方法を確認してください。測定方法や基準値による判定は調査担当者に任せ、施設側は原因と対応の説明を受けます。
止められない施設での注意: 絶縁抵抗の測定は、原則として電気を止めて行います。工場のラインや冷凍設備など止められない回路がある場合は、測定の時間帯(休日・夜間)を業者と相談します。
業者を選ぶときのチェックリスト
- 漏電調査の実績があるか(工場・店舗など、自社に近い施設)
- 漏れ電流計・絶縁抵抗計を持ち、測定値を報告書で出せるか
- 電気を止められない場合の調査(電気を流したままの漏れ電流の測定、夜間・休日の対応)ができるか
- 原因が分かったあと、修理まで続けて頼めるか(対象設備に応じた電気工事業の登録・通知、またはみなし登録・みなし通知の届出をしているか)
- 高圧受電の施設では、電気主任技術者と連携してくれるか
- 調査の費用の決まり方(時間・人数・回路の数・出張費・夜間の割増)を事前に説明してくれるか
費用について: 調査費用は、回路数、原因の特定にかかる時間、夜間・休日の作業かどうかで変わります。条件をそろえて示せる公的な相場資料は確認できていないため、金額は示しません。見積もりでは、次の4点を確認してください。
- 調査費用は時間制か、一式か
- 原因が見つからなかった場合も費用がかかるか
- 修理費用は別にかかるか
- 出張費・駐車場代はいくらか
漏電を繰り返さないために
- 年次点検・月次点検の絶縁抵抗の記録を見て、値が下がっている回路を早めに直す
- 水がかかる場所の機器・コンセントは、防水型への交換を検討する
- 制御盤内部などの清掃は、保安担当者と停電・作業範囲を調整し、専門業者に依頼する
- 古い機器の更新を、計画に入れる
- 配線が足りないからといって、延長コードやタコ足配線で増やさない。回路の増設は工事で行う
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- 高圧受電の施設の年次点検は、電気設備の年次点検で説明しています。
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